手打ちそば 八駿庵
札幌駅で帯広行の特急に乗ろうとしたが、地震のために運休となった。急いでレンタカーを手配し、資産家の鈴木とオヤジ二人なかよく軽自動車で高速を飛ばして、どうにか帯広市街地にたどり着いた。飯が食いたい。ネットで検索。通り道に一軒のそば屋を見つける。考えてみれば、この一年で何度も帯広に来ているが、まともに飯を食った覚えがない。ゆっくりする余裕はないが、まともな食事をしたい。
店に入ると、入口ソバのテーブルに座った。午後1時半ということで、客はほとんどいない。
メニュー
さて、何を食べようか。メニューは写真付きだ。
手打ちならば冷たいそばが食べたい。とろろは川西産。帯広畜産大のあたりか。化学肥料も農薬も使わずに栽培されたものとのことだ。そばは八千代産の十割。帯広市郊外、空港の近くだ。さすが食料自給率1700%を誇るだけある。そばもとろろも地元産とは、素晴らしい。
私は冷たいそばとミニ天丼セットをセレクト。鈴木はとろろそばが食べたいという。ミニ天丼も食べたいらしい。朝飯を食ってないので、空腹なのだと主張する。店の女将さんにとろろそば大盛とミニ天丼セットが可能か尋ねると、快く引き受けてくれた。
ミニ天丼セット
出てきた蕎麦を見て驚いた。黒くて太い。私の好みは白くて細い蕎麦だ。いわゆる更科だ。十割そばより二八が好きだ。
どないなっとんのや!
自分で決めた店だ。どうもなっていない。
そばを箸でとり、つゆにつけて口に運ぶ。綺麗に切りそろえられているが、舌触りが滑らかさにかける。コシもないわけではないが、いまいちか。蕎麦がからんでいまいち食べにくい。香りも弱い。返しは甘くもなく辛くもない。出汁のきいた、バランスのとれた味だ。
蕎麦猪口に入れた薬味のネギが完全に切れていない。サザエさんが切ったたくあんのように、いくつもくっついている。子どもの頃からそば屋でバイトをしていた私は知っている。真空切りをせずに、まな板で長ネギを切るとこうなるのだ。
ミニ天丼は意外にボリューミーだ。かぼちゃ、ピーマン、ナス、キス、エビ天の五種類がミニどんぶりの上に鎮座している。ご飯も私好みの炊き加減である。甘さ控えめの天丼のタレが天ぷらによく絡み、ご飯に染み込んでいる。かぼちゃだけ、何か不思議な味がする。様々な物を揚げるために、油に溶け出した色々な素材の香りがかぼちゃに移ってしまったのだろうか。
蕎麦猪口の返しを三分の一ほどに減らし、白濁した蕎麦湯を入れる。ああ、いい香りだ。
食べ応え満足。これで800円はコスパがいいと言えるだろう。しかし、あえて言おう。更科が食べたいと!
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)