河太郎
中洲の繁華街を歩く。中洲のホテルには何度も泊まったことがある。飲みに来たことも何度かある。いずれも誰かに連れてこられたので、位置関係が分からない。ひとりで、しかもシラフで中洲を歩くのは初めてだ。あれ?この看板は以前に来たことのあるような…あれ、ここも連れてこられたことあるんじゃないかと、記憶に残っていた店の前を何軒か通る。ここが飲み屋街だったのか。セクシーな女性が微笑む、キャバクラの看板があちこちにある。
さらに道を進む。突き当たりを右に曲がり、すぐに細い路地に入る。なんだか怪しい雰囲気に変わった。店の入口に「路上ではご説明できません。」と書かれている。もしかして、ここが中洲のソープ街なのか。あ、メンズバスって書いてあるや。だが、私は風俗を楽しみに来たわけではない。目的地はさらに先だ。 呼び込みを振り切って前進あるのみ。目的地の看板が見えた。ここだ。
店に入る。思っていたよりかなり大きな店だ。入口で待っていると、次々に団体客が入ってくる。予約しておいて正解だ。下谷さんはまだ店に来ていなかった。少し待つことにする。
この店にしたのは、日本で最初に生簀を使った店だと言うことと、生きイカを食べることができるからだ。呼子の生きイカ。何年、いや、何十年ぶりに食べるのだろう。クエも食べたい。今が旬だ。
お通しはイカのワサビ和えだ。
生きイカ
透明で身が厚い。300g級だ。固い、甘い。身が締まっている。腕はまだ動いていて、皿から逃げ出そうとする。これだよ、これこそ呼子のイカだ。そうだ、食べ方があるのだった。マニュアルを読まなければ。
1.まずは塩だけつけて食べる。
2.次にレモンに塩を絞って食べる。
3.そしてわさび醤油で食べる。
なるほど。いざ、実食。まずは塩だけつけて食べる。透明な身は、まだ固いにもかかわらず、甘みがある。北海道の真イカとは違う。確かに塩が甘みを引き立たせている。
次にレモンを絞る。塩レモン。そしてイカを食べる。甘みと酸味が口に広がる。いいねえ。
そしてわさび醤油だ。うん、美味い!身のしまった、透明なイカを噛むたびに甘みが広がる。醤油とわさびも甘みを引き立てる。酒が欲しい。日本酒持ってこい!
刺身三種盛
- ひらまさ
- マグロ
- ヒラメ
ひらまさはカンパチか、ブリか、ハマチかと下谷さんと盛り上がる。(※どれでもない。)控えめの脂ののり方が好きだ。美味い。ヒラメはタイのように見えるが、誤って塩をつけてしまった。そのまま厚めの刺身が塩で食べるとうまい。レモン絞ればよかった。下谷さんにはレモンをかける。
野菜天ぷら
普通にうまい。
クエちり
店の仲居さんがすべて調理してくれるので、人と話しているときは助かる。野菜がうまい。鍋に入っていたクエは少しだけだった。あの量でこれだけの出汁が出て、野菜の旨みを惜しみなく引き出すものなのか。もちろん、クエの身は最後のお楽しみにとっておく。
魚らしからぬ肉のようなコクと旨み。クエはやっぱり美味いなぁ。
幸せだ。
気がつけば店内に人はほとんどいなくなっていた。年配の客が多かったから、さらっと食べて帰ったのだろう。私たちは話も弾み、酒も進み、がっつりと食も会話も楽しんだ。さて、次に行きますか。久しぶりの中州を楽しみましょう。
福岡中洲 河太郎 中洲店
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)