ナークニー ポチギ

那覇市国際通り 上原正吉の店 島唄ライブ ナークニー

上原正吉の店 島唄ライブ ナークニー

北海道から知人が彼女を連れて来沖することになった。彼女にもいろいろとあるのだが、知人は独身なので、口止めがいらない方の彼女だ。

ナークニー、漢字で書くと「宮古根」。宮古風という意味らしいが、沖縄本島を代表する民謡の名称であり、あちこちに地域に根差したナークニーがあるという。同様に宮古なら「アヤグ」、有名な「島人ぬ宝」にも歌われる「トゥバラーマ」は八重山である。 と言っても、私はいずれも聴いたことがない。そもそも民謡を聴く機会自体がほとんどない。

一週間前に北海道東胆振震災が起き、彼の自宅も会社もブラックアウトに見舞われたが、本人は東京に滞在していて、自宅に帰れなくなった。結果的に停電の影響を受けることなく、予定通りに旅行に来たのだった。彼からのリクエストは民謡酒場ということで、地元の芸能系の知人からおすすめの店を聞いておいた。それが今日の店、上原正吉の店 島唄ライブ ナークニーである。知人には申し訳ないが、店の入口を見る限り、不安がよぎるばかりだ。

階段を上り、薄暗い店内に入ると知人と彼女はステージ前のテーブルに座っていた。ステージだけは明るい。当然か。

メニュー

さて、何を食べますか?なんだかメニューが少ないなぁ。本当に代表的な沖縄料理しかないような気がする。

典型的な観光客向けの店だろうか。そもそも地元民は国際通りで飲み食いなどしない。高いし、人が多いし、不便だ。

料理はいまいち

まずは定番の島ラッキョウ塩漬け。素材力がものをいうので、こいつが不味い店はまずありえない。

海ぶどう。観光客は大好きだが、沖縄県民の食卓に上ることはまずない。食べる習慣がない。土産物屋で売っているものは県産品だが、スーパーで売っているのはベトナム産だったりするので、要注意だ。県魚のグルクンでさえ、業務スーパーに行けばベトナム産の冷凍品が安価に販売されているのが現状だ。

メニューにはない沖縄ソーセージ。記憶にもない。おそらくポチギだろう。ポルトガルのスパイシーなソーセージ”Portuguese sausage”(ポルトガルソーセージ)のことである。ポーチュギーズ・ソーセージと読むので、沖縄ではポチギと略されている。

ここで菊の露VIPゴールドのボトルを入れた。知人は水割り、私は炭酸割だ。彼女は酒が飲めないとのことだった。

ヒラヤーチー。個人的にこの貧相さシンプルさが好きなのだ。沖縄料理店であれば、小皿に入ったウスターソースが出てきそうなのだが、それもない。なんだろうな、この店は。

スーチカー。沖縄の伝統保存食で豚肉の塩漬けだ。ベーコンに似ているので、薄切りにして軽く炒めて食べるとうまい。しょっぱいので付け合わせの野菜などと一緒に食べると、いい組み合わせになる。個人的には好きな料理なので注文してみた。こいつは美味いが、キャベツがもっとみずみずしければなあ。

モズク天ぷら。知人がとても食べたがっていた。私も久しぶりに食べるな。あれ?揚げすぎじゃないだろうか。固くてカリカリすぎる。こいつはカリフワで中はしっとりじゃないと、食べてるのがモズクだか何だか分からなくなる。自宅で失敗したときのモズク天ぷらと瓜二つだ。

嫌な予感がする。

詐称ソーミンチャンプルー

知人にどうしても食べてほしかったソーミンチャンプルー。おばあが持ってきて言った。

「当店のソーミンチャンプルーは、沖縄らしさを出すために支那そばを使っています。」

は?

支那そばが沖縄らしさ?支那そば使ったら、ソーミンチャンプルーじゃないよね。焼きそばだよね。おばあに尋ねてみた。

「これ、塩焼きそばですよね?」
「ですから、当店のソーミンチャンプルーは、沖縄らしさを出すために支那そばを使っています。」

おばあ、一歩も引かない。これのどこがソーミンチャンプルーなのか、県庁前の通行人100名にこいつを見せて、料理名を聞いてみたいくらいだ。そもそも、なぜ支那そばを使うと沖縄らしいのだ?沖縄そばではなくて?でもこれは沖縄そばですよね。こんな太い支那そばでこんな太い麺って、大勝軒のつけ麺ですか。ツッコミどころ満載だ。

なんとなく想像がつく。実はソーミンチャンプルーを作るのは難しい。すぐにゆで上がるソーメンを水で洗い、油にまぶしておいて、野菜を炒める。そして混ぜる。手早くしないとぐずぐずになる。沖縄そばだとその心配がない。最初から油がまぶされている。

ひどい。ひどすぎる。

ひどいライブとぼったくり会計

ライブが始まった。安里屋ユンタ、ハイサイおじさん、十九の春。ここまでは定番だ。しかし、盛り上がらない。客が少ないからだ。オバアがMCでおじいはまったくしゃべらない。誰のライブなのかわからない。

続いて涙そうそう、島人ぬ宝。オジイが完全についていけていない。同じ単音をただ引いているだけだ。なんだこれは。知人もしらけている。微妙な空気のままライブ終了。

「出ましょうか。なんか、ここは思っていたのと違いますね。僕の知ってる民謡酒場が近くにあるので、そちらに行きましょう。」

知人が言われて会計をした。3人で2万3千円。

え?

沖縄の居酒屋で一人七千円だって?ありえない。明細を見る。なにこれ、 200mlの炭酸水が一缶300円。ボトルは入れられないから、持って帰れと言われた。これじゃリピーターも地元客も来るわけがない。外国でぼったくりに遭ったような気分だ。ここは日本だ。しかも沖縄だ。

その後、知人が一年前に訪れた若狭のスナックに移動。ボトルを二本入れても2万1千円だった。

勉強になりました。沖縄の観光業は調子に乗りすぎかもしれん。

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