野菜かき揚げ天ぷら

沖縄県那覇市 小禄駅 浄照窯 エビ天せいろ

沖縄で日本そば

妻が空港まで送ってくれるのでランチを食べることにした。これからセントレアである。さっそく飛行機遅延のメールが届いた。何を食べたいのか聞くと、昨日のランチは家で作った、鹿児島土産の小金太ラーメンを食べたので、ラーメン以外と言う。当初は空港でさぼてんのトンカツを食べようとしたのだが、フードコートであることが判明して気が変わった。

空港への道中には沖縄そばか日本そば。どちらがいいのか尋ねると、せっかくなので日本そばとのこと。今回の出張は西日本ばかりなので、蕎麦を食べる機会もないだろう。むしろ、きしめんを食べたい。ああ、明日の朝食は新幹線ホームで住よしの味噌きしめんを食べればいいではないか。今日の宿泊は珍しく素泊まりなのである。

浄照窯

那覇イオンの裏手に、以前から気になっていた日本蕎麦の店があったので、この機会に行ってみることにした。駐車場がすごく狭いが、幸い、停めることができた。

さて、何を食べようか。店頭でメニューを確認する。普段は海老天を好んで食べないのだが、宜野座産の車海老と知って食べないわけにはいかない。宜野座高校は甲子園にも出場したことがあるのだ。

例によって私が二品を選択する。うーん、海老天せいろとかき揚げせいろ、こんなところだろう。親子丼やすだちそばにも惹かれるが、明日は徳島だ。そう言えば、七年前に長崎県大村市ですだちそばを食べた記憶がある。見た目にはインパクトがあるのだが、食べるとあっさりしすぎて物足りなかった気がした。

窓際のテーブル席に案内される。これはラッキーだ。店内は大きな窓から外からの明かりを取り込んでいる。窓際には売り物の陶器が並んでいる。中には八万円、十万円の値札の付いたものもあった。

よく冷えたそば茶。グラスも涼しげである。和を感じる。やたらと水分を取るのですぐにお茶が無くなっても、にこやかに継ぎ足してくれるフロア係の女性からもおもてなしを感じることができる。

テーブル上には七味と塩。これはモンゴルの岩塩だろうか。

妻と二人、蕎麦が来るのを待つ。なかなか居心地のいい店だ。フロア係の声が店内に響く。

「すだちそばと辛味大根そば、どちらも大盛りに単品で天ぷらです。」

なに?そんなオーダーの仕方があるのか?あっけにとられる私に妻が言った。

「大盛って発想、無かったよね。」

うん。しかも、すだちそばと天ぷらが食べられるなら、物足りなさも解消するだろう。妻は辛味大根が食べたかったようだ。オーダー時にトッピングも頭をよぎったが、とりあえずはスタンダードで食べることにしたのだ。

蕎麦粉は北海道は音威子府(おといねっぷ)産とのことだ。道内でも有数の生産地、幌加内の北に位置するのが音威子府。黒い蕎麦が有名だが、これは音威子府で食されている蕎麦であって、蕎麦粉は地元産ではない。ややこしい話だ。人口千人に満たない音威子府村だが、蕎麦の生産量は北海道でベストテンに入るのだ。これを石臼で挽いて丁寧に手打ちしているとのことだ。

これは期待できるか。

かき揚げと蕎麦

まずは妻のかき揚げが運ばれてきた。これは美しい。ボリュームもある。

続いて私の天ぷらだ。ああ、エビもさることながら、大葉の緑が美しい。

最後に蕎麦が運ばれてきた。皿の上にすのこをのせ、その上に細めの白っぽい蕎麦が鎮座している。

ん?

麺が少し縮れてないだろうか。これは蕎麦打ちの水回しに問題があると起きる現象だ。見た目にもキラキラしていない。茹でてから少し時間が経っているのか。

まあ、いい。

蕎麦を箸でとり、返しにつけて一気にすする。喉越しはいいが、そばの香りは少し弱めか。夏目前だ、仕方がない。返しは少し辛めだ。付け過ぎると塩っぱくなる。

天つゆに大根おろしを入れて、天ぷらは食べる。まずはゴーヤーから。沖縄らしいチョイスである。衣はサクサク。ほのかな苦味が蕎麦に合う。車海老にうりずん豆、大葉、かぼちゃ、ナス、ゴーヤー、エリンギなど。妻と分けて食べる。この軽い衣は蕎麦屋の天ぷらではない。

かき揚げも揚げすぎず、細いゴボウもきっちり旨味を感じることができる。かき揚げのエビといえば小さいのが定番だが、しっかりと大きいのがプリッと収まっている。しかもデカイ。

沖縄でこのレベルの天ぷらを食べられるとは驚きだ。ああ、芝のアナゴ天の衣がこんな感じなら、どれほど美味いだろうか。

車海老は岩塩をつけてみる。小ぶりだが噛み締めると上品なエビの味がしっかりとにじみ出てくる。

締めは蕎麦湯で割って飲む。返しがとても甘く感じられる。不思議だ。

食べ終えて店を出る。車の中で妻と感想戦を行う。

「蕎麦を食べてたら、切れてないやつがあったよ。香りもあまりしなかったよね。」
「かき揚げの中がぐちゅぐちゅの部分があった。沖縄のフリッターみたいになってて残念。」
「沖縄ならこのレベルでも仕方ないんじゃない?」

手厳しい。しかも色々とハズレを引いたようだ。雰囲気は素晴らしい、夜も営業していると言う。

タコしゃぶなら美味いのかな。すでに蕎麦ではないのだが。

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