年度末は送別会の季節
取引先と数年にわたって、月に一度の勉強会をしてきた。この二、三年は新たに一社が加わって、それぞれのオフィスを交互に訪問しながら、できるだけ交流会を持つようにしていた。平成になっても飲みニケーションは大事である。酒飲みが集まるのに、大義名分があれば、堂々と飲めるというものだ。
そんな勉強会メンバーの最古参が二人も異動することになった。考えてみれば、私が担当してから六年が経つ。過ぎてしまえばあっという間だ。この勉強会だって、六年前にはおよそ考えられなかった。なんせ、後から加わった会社というのが、元から勉強会をしている会社とはライバル企業であり、犬猿の仲だからだ。
同じ業界だからこそ分かり合えることがあり、声を揃えなければならないこともある。何年も呼びかけて、ようやく分かり合える担当者が異動してきた。勉強会の具体的な成果もで始めた矢先の異動だ。出会いがあれば別れもある。退職するわけではないから、今後も会うことは度々あるのだろうが、やはり寂しく感じるものだ。
そこでライバル企業と担当者が一計を案じて、最古参のメンバーの送別会を行うことになったのだ。粋な計らいである。
ちねんや〜泉崎店
指定された会場はモノレール旭橋駅近くにある「ちねんや〜泉崎店」チェーン店かと思いきや、二店舗しかない居酒屋で、もう一店は石垣島にあるようだ。送別会の発起人によると、魚を食べるならここがいいと同僚から勧められたのがこの店だそうな。
予約席に案内されると、すぐに全員が揃った。さて、始めましょう!まずはサラダ。野菜はみずみずしくてシャキシャキだ。和風ドレッシングが食欲をそそる。口の中に広がる海苔の香りがたまらない。居酒屋のサラダは、かさを増すのに水菜を使うのが定番だが、この店も例外ではない。水耕栽培で安価に安定して仕入れることができる水菜は、飲食店の強い味方なのだ。
前菜セット。海ぶどうが生臭い。なんだろう。魚醤でも入れてあるのか。傷んだとか腐ったとか、そういう匂いではない。塩辛のような匂いだ。ポテサラは明太子かタラコが入っているのだろう。プチプチの食感がアクセントだ。ゆうたまの離乳食にもよく入れる。タラコを入れることで風味と味わいが豊かになるのだ。白子は可もなく不可もなくだが、ポン酢おろしで食べるのが斬新か。
刺身はまあまあである。
セセリ鉄板焼きは宮崎のもも焼きのようだ。カリカリに焼けた表面、コリコリとした食感が食に楽しさを添える。脂がのった肉はコクもあり、焼き加減もバッチリ。酒が進む。
アジの塩焼き。レモンの話で盛り上がる。スマホのプレーヤーで米津玄師の音楽を再生する者、東京では米津を聴かないと怒られるのです、と語る人。皆それぞれに様々な思いがある。焼き魚なのに少し冷たい。赤い部分が見受けられるが、鮮度がいいから生でも食べられると勝手に思い込むことで解決。味は悪くない。大根おろしと醤油で食べるのがよし。もうちょい脂がのっていれば文句なしなのだが。
チキン南蛮、カリッと揚がった鶏肉は、噛めばジューシー、酸味がほぼない甘酢とタルタルのコンビネーションが、鶏肉も野菜も美味しく味わう魔法をかける。これは美味い。
トイレはただの洋式便座。ハイボールはブラックニッカ。
骨つき肉のタレ焼き。脂がのってまったりとしている。甘辛い味付けの肉はカリカリ、骨の周りの肉は美味い。酒が進む。
おしんこ盛り合わせ。ゴーヤーの甘酢漬けも悪くない。黄色いおしんこが酒のアテにちょうどいい。酒が進む。
締めはマグロ寿司、だろうか。こぼれマグロサーモン漬けご飯とでも呼べばいいだろうか。ご飯がもっさりしていて残念。これならお茶漬けにした方が美味かろうに。
お疲れ様でした。
せんべろの罠 大衆酒場 守陽館
酒飲みの集まりが一軒で帰るはずがない。ちねんや〜の向かいにあるのは守陽館。せんべろの店だ。ヤバイ店だ。数名で店に入る。
飲み放題二時間千五百円。迷わず選ぶ。これで泥酔確定だ。
ネギチャーシュー、玉ねぎのマイルドな辛みと肉の脂の甘みが混じりあい、溶け合い、素晴らしいコンビネーションを発揮している。当然、酒にも合う。
なんとなく揚げ島豆腐。好きなんだよなぁ。この後、何時まで飲んだのか、あまり記憶がない。もう一軒に寄って、自宅に戻ったのは午前二時過ぎだったらしい。翌日の私は、もちろん、役立たずであった。ごめんなさい。
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)