くいしんぼ本店
夕方に自宅を出て、出張先のホテルに着いたのは23時過ぎ。遅い時間だから、コンビニで軽いツマミと酒を買って、部屋で飲んで寝ようと考えていた。念のため、あたりを5分ほど散策する。気になる店が見つからない。一件だけ、粉ものの店に心惹かれそうになったが、通り過ぎてセブンイレブンに入る。ツマミを物色するも、どこでも買えるものばかりだ。ん?とん平焼き。こいつを買って、部屋で食べるくらいなら、店で生ビール飲みたいよなぁ。
どうする、自分?
5秒ほど考えた。
ここは大阪だ。明日には鹿児島だ。今、粉もんを食わずにして、いつ食べられるのだ?先ほどの店でいいではないか。行くのだ、行くべきだ!ハイボールも待っているぞ!
カゴの中の商品を元の棚に戻すと、私はコンビニを出て、すぐ近くの店に向かった。
ドアを開けて店に入る。テーブル席がメインで、カウンターはわずか5席。入り口は二箇所。表通りと裏道。カウンターに通される。
メニュー
なにを食べるか。まずは中ナマ。とりあえず、モツ煮ととん平焼き。
モツ煮
臭みなく柔らか。薄味仕立て。九条ネギがアクセント。いいね、モツ煮はいいね。
とん平焼き
普段食ってるのよりでかいくて薄い。紅ショウガが爽やか。半ナマにやけたキャベツと相性がいい。マスタードをつけるのは初めてだが美味い。ソースとマスタードは相性がいい。
さて、ここで強炭酸ハイボールだ。なんと、6volの強炭酸なのだ!と言うが、意味がわからん。調べてみた。
串カツ
さあ、粉もんといえばこいつもそうだ。串カツ5本入りは、やたら黒いよ、揚げすぎじゃないかと思ったら、すでにソースに沈めてあった。よそ者には嬉しいサービスだ。普段、串カツを食べない者に、二度漬け禁止のハードルはなかなか高いのだ。豚バラは普通にうまい。衣はちょっと厚めだ。こうでなければソースに浸せないのだろう。牛肉、関西文化だ。関東では牛カツは一般的ではない。沖縄では見たことがない。美味い。B級グルメだ。
アスパラはもっと太いものであげたほうがいいだろう。こんなものか。アスパラの味はした。
沖縄名物くんちゃまベーコン
メニューに「沖縄名物くんちゃまベーコン」と書いてある。クンチャマーは沖縄の方言で豚の首肉のことだ。三枚肉に似ていて、我が家でもトンポーローにしたりする。だが、クンチャマベーコンなるものを沖縄で見聞きしたことがない。よくある、地元にない名物か。
新宿の思い出
昔、沖縄人8名と新宿の居酒屋に飲みに行ったそのうち半数は沖縄在住だった。店のメニューに那覇豚と書かれていた。一人がメニューを指差しながら店員に尋ねた。
「あの、この豚ってなんですか?」
店員が答えた。
「はい、沖縄の那覇豚です。」
どよめきが湧いた。別の一人が言った。
「那覇市内に養豚場は無いよ。」
店員の顔が引きつっていた。
で、くんちゃまーベーコン。ネットで調べると沖縄ハムの商品だ。ここで、ピンときた。沖縄でたまにやたらと安いベーコンが売られている。わざわざクンチャマーなどとは書いてないが、あれがそうなのか。沖縄に戻ってみたら、確かに丸大(沖縄の地元スーパー)でブロックのまま売っていた。
たこ焼き
粉物文化の代表格。ソース味を頼んだ。醤油味もあるという。熱々を口に入れると、外側はふわふわ。これを噛むと熱々のトロトロご口の中に溢れ出してくる。ハフハフと冷ましながらこいつを口で受け止めると、コアであるタコが姿をあらわす。こいつを躊躇なしに噛む。歯ごたえがたまらん。タコの旨味が口に広がる。至福だ。
粉物バンザイ。
気がつけば時刻は午前一時を過ぎていた。ホテルに戻って、明日の準備をして寝よう。
くいしんぼ本店
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)