バー マル (BAR MARU)
「早く着いたので、駅前で飲んでまーす」
グループLINEに神畑さんからのメッセージが入った。今晩の懇親会に参加するために宮崎に来たのだが、早く到着したので、駅前で時間を潰すと言うことだ。
彼は京大を卒業後にアクセンチュアの前身である アンダーセン・コンサルティングに就職し、品川の御殿山あたりをウロウロしていたそうである。私も同時期、ソニー本社に足繁く通っていたので、どこかで会っていたかも知れない。その後、藤田晋氏率いる サイバーエージェントに入社。社員数も50名程度の頃で毎日が楽しかったそうだが、わずか二ヶ月で退社。実家の父親が倒れ、家業を継ぐことになったためだ。
グループLINEには店内の写真だけがアップされ店名は書かれてなかったが、私はすぐに理解した。宿泊しているホテルの隣の店だ。ここ何日か、毎日数回は店の前を通っていて、個人的に気になっていた店だ。
「すぐに行きますね。」
返信するとホテルの部屋を出た。ホテルから出てわずか20メートル。この店だ。
ドアを開けて店に入る。なかなかオシャレな内装ではないか。
メニュー
店内に掲示されたメニューも楽しそうだ。魅力的だ。しかし、ここでの時間は繋ぎだ。テンポラリーだ。ガッツリ食べてはいけないのだ。
そう、おやつの時間と思えばいい。
神畑さんを見つけた。一人だ。彼はビールを飲んでいたので、私も同じものを頼む。ではつまみに何を食べようか。
小皿料理、いいねえ。
パエリアも美味そうだが、おやつの範疇を越えてしまうので、残念ながらパス。
一品料理。このあたりだろう。ハムとサラミの盛り合わせに、神畑さんがオニオンリングをリクエスト。私はカジョアだ。
ビールを飲み終えたので、二人ともシュワサングリア白をオーダーする。なんとなくスペインなのだ。しかし、トイレが混んでいる。
サラミとハムの盛り合わせ
無難だよね。美味いよ。酒にもよく合う。神畑さん、実はまだ今晩の宿泊をか予約していないと言う。もう夕方なのに、どこに泊まるの?明日の朝が早いから、駅前がいいって?なら、私の泊まってるホテルがいいよ。この店のとなり、本当に駅前ですよ。
うーん、膀胱が厳しくなってきた。まだトイレが空かない。店内にはそんなに人がいないのに、どう言うことだろうか。
オニオンリング
ソースがかかっているのが珍しく感じる。食べてみる。食感はカリカリ、玉ねぎはとても甘い。美味い。神畑さんは、ちゃっちゃとネットでホテルの予約を済ましていた。私は再度トイレに行く。
空いてなーい。
誰だよ!こんなに長くトイレに入ってるのは?もう15分は経つぞ。電話でもしてるのかいな。さっさと出て来んかーい!!そろそろ限界だよ…
カジョア
最後はマドリッド風牛もつの煮込みカジョア。ピリ辛のトマト煮だ。モツは臭みなく、柔らかい。くせになりそうな味だ。そういえばペルー料理でも似たようなものを食べた気がする。ヨーロッパ料理は意外に持つを使った料理が美味いのだ。こんな時に肉料理の伝統を感じる。
なんなんだよ!まだトイレ空かないのかよ…って、あれ?このドアはトイレじゃなくて、オフィス?トイレのドアは…こっち?ええ?空いてるし。
私は何と格闘していたのだろうか。
さて、そろそろ時間ですよ。私が勘定しておきますから、ホテルにチェックインしてきてください。悪いって?そんなことないですよ。安いところは私が払いますから、今度、高い店をおごってください。
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)