羽田空港からは京浜急行で泉岳寺まで行き、都営浅草線に乗り換えて宝町で降りる。エアポート快速は停車しないので注意が必要だ。新橋で乗り換えずにいると日本橋まで連れていかれるのだが、ここで逆方向に乗り換えるには、改札を出なければならないために、きっちり運賃を払わされることになる。瓢喜に行くならば、前方車両に乗れば、降りた先にエレベーター専用改札があるので便利だ。
エレベーターを降りると、出口のそばには西安刀削麺の店とゴルフ道具店。ゴルフは興味がないが、店頭でクラブの試打というか、ゆっくりと使い心地を試している人をよく見かける。あんな場所でクラブを振らなくてもと思うのだが、きっと自分もゴルフをするようになれば、同じことをするのだろう。
それよりも刀削麺の店がよほど気になる。なかなか行く機会がないのだが、通るたびに瓢喜でもなく、香水亭でもなく、こちらの店にフラフラっと入りそうになるのだ。
店に入ると、部屋にはすでに全員がそろっていた。ランチが運ばれてきた。食事を見た同席者の一人が言う。
「久しぶりに来たけど、なんか前と違うね。」
そう、いつもはこの店の向かいの香水亭でのランチが長らく続いた。私は瓢喜よりも香水亭が好きだったのだが、久しぶりに来てみると、なにか雰囲気が変わっていた。以前とは趣が違う。ランチが弁当箱ではない。続けて彼は力説した。
「やっぱり、同じだとだめだね。感動とか新鮮さがないと良くないよ。」
つまり、長年連れ添った奥さんには何の感動もないので、若い彼女を作ってみたけど、いまいち感覚が合わなくて別れて別の彼女を作ったと。そちらは長く続いたんだけど、やはり飽きが来て、久しぶりに前の彼女と会ってみたら、雰囲気も変わっていて、なにか新鮮さを感じて感動したと。そういうことかいな。
「怖いな~」
別の同席者が苦笑いしていた。
切り干し大根がだしがきいて美味いのだが、私には少ししょっぱいのが残念だ。それとも食事があっさりしているので、あえて塩を効かせているのだろうか。温泉玉子が甘くて美味い。そしてでかい、飲み込むのが大変だった。食べ終えてからふと思った。もしやこれはうどんに入れるものではないか。いや、それならばだし汁は不要なはずだ。先ほどの彼が言った。
「あれ?この玉子ってうどんに…」
みなまで言うな。もう過ぎたことなのだ。
寿司はまあまあこんなものだろうか。悪くない。だが、この店は和食店であり鮨店ではない。鮨職人がいるのだろうか。まあ、和食の職人ならば、三カ月あればそこそこ鮨は握れるようになると、とある鮨職人が話していた。
鮨五貫と玉子焼きである。シャリも小さめで、年配者にはともかくおっさんでも、あと三貫くらい欲しいところだ。巻物でかさ増しされていないのは嬉しい。
うどんはカツオのいい香り。出汁が効いて上品な味。めんもコシがあり、つるつるでのど越しよい。
ごちそうさま。店もいろいろと努力して、飽きられないように努力しているのだと再認識。香水亭もちょっとは趣向を変えてくれればいいのだが、変わらないんだろうなあ。
たまにはこの店でランチを食べることにしよう
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)