和食 直
釧路に来たのは二年ぶりだ。あのときも札幌から飛行機で釧路空港まで飛んだ。夏だった。レンタカーで根室に向かう途中に、蕎麦 宮嶋でランチを食べた。私好みの蕎麦で美味かった。今回は冬。明日は生まれて初めて乗る花咲線で根室に向かう。川沿いのホテルにチェックインして一息つくと、夕食に向かうことにした。
ホテルの近くに店があるのかをネットでチェック。この辺りは繁華街の外れに当たるようだ。ならば自身で歩いて、自分の目で店を探そうではないか。ホテルを出て数分歩いたところに、静かに佇む和食店を見つけた。
これ、いいんじゃないか。私の勘が告げる。躊躇なく店のドアを開けると、店内はカウンターのみ。おお、まさに絵に描いたような理想形。奥の席に座ると、とりあえず生を注文した。ふむ、これは恵比寿のハーフアンドハーフ、樽生か?
お通し
ちぢみほうれん草のお浸し、カニがのっている。甘い、葉は柔らかいが、ぐにゃぐにゃではない。茎はシャクシャク、茹で加減が絶妙。しっかりと出汁の聞いた薄味の味付けカニの身も塩っ気は薄く、ほうれん草と一緒に食べると香り良い。ほうれん草のえぐみはまったくない。
道産あん肝
柔らかい。箸がスッと入る。臭みもなく丁寧に仕事がされているのが分かる。口の中で溶けてポン酢と相まって口の中に美味さが広がる。
美味。
日本酒が飲みたい。奈良の倭姫の純米吟醸を勧められる。
下仁田ネギのすりおろし
甘いネギの香りが香ばしい。ポタージュだ。あまくてじょうひんなあじだ。
鴨鍋
文句なしに美味い。肉と野菜と出汁のバランスが素晴らしい。野菜はクタクタ。肉も硬くない。カモネギとは言ったものだ。
お造り
しめ鯖最高。美味すぎる。松川カレイは脂がのって甘い。ウニはサイコー。昨日、ススキノで食ったものとは別物だ。あれは見た目はゴージャスなのだが、味は道東で食べるものには敵わない。鮮度が違う。甘くて臭みなくて香り良い。マグロの赤身も悪くない。
大将と沖縄の話で盛り上がる。この店には一見さんはなかなか入ってこないらしい。日本酒は福島の洒落。ふっくらして私好みだ。倭姫はスッキリしすぎだ。日本酒は辛口好みの人が多いのだが、私は辛くない酒が好きだ。
タチ天
真タラ白子の天ぷらである。塩でいただく。サクッとした衣の中にはふわふわとろとろ、クリームのように口の中で溶けていく。たちの香りと甘さがふわっと口の中に広がっていく。
厚岸産生牡蠣
文句なし。厚岸産ということで、かきえもんか、ながえもんか、まるえもんか尋ねたら、どれでもないと。厚岸産の牡蠣でも無印が多くあるとのこと。
握り
寿司はマグロ、松川カレイ、しめ鯖。シャリが小さめで魚がでかい。お造りと同じだが、握るとまた味わいが変わる。どれも旨い。
味噌汁
出汁が効いてうまい。バラ海苔だろうか。ふわふわしてたまらない。
ごちそうさま
大将は朴訥として、会話はあまり好きではなさそうだった。人見知りしそうな、いかにも和食の職人という感じだ。金曜の夜だというのに、私が帰るまでに、誰も客が来なかった。きっとこれから地元客で盛り上がるのだろう。
季節を変えて再び訪れてみたい。妻と二人で飲みに来ても楽しいだろうな。
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)