糸満漁民食堂
海をそれなりに満喫した一行は糸満漁民食堂を目指した。それほど距離はない。10分もかからずに目的地に到着。幸い、駐車場も空いていたので、すぐに車を停められた。
沖縄の食堂と言えば、典型的なのが海洋食堂。店は頭にタオルを巻いたおばあが仕切る。おじいが調理担当だ。お座敷に不揃いなテーブル。水はセルフ。メニューは壁に書いてある。
それがどうだ。店内は明るく、かまくらというか、隠れ家のような部屋もある。アイデアの詰まった内装だ。BGMも三線をフィーチャーしたJポップスで、いわゆる民謡ではない。沖縄らしさはあるのだが、昔ながらの食堂ではない。
メニュー
本日のおすすめメニューも、おしゃれなカフェと変らない。
調理を担当しているのは、大将ではなく、シェフだ。清潔そうな白衣を着ている。メニューも工夫されている。新世代の沖縄料理と言えばいいのだろうか。食堂という名称はジョークか皮肉に見えてくる。
お魚希望のハルハルはバター焼き定食なのだ。アーサーソースをセレクト。本日の魚はタマンをチョイスなのだ。タマンは刺身でも火を通しても美味い魚だ。こいつの味は内地の魚にも負けないのだ。
私と妻は何を食べようか。うーむ。
私は丼物で糸満漁民飯を、妻はあっさり魚汁そばを食べることにした。ちゅるちゅるはけいたまの好物だ。猫娘のけいたまは魚も大好きだ。魚汁そばならきっと爆食い間違いなしだろうという、安易な発想だ。カリカリが好きなけいたまに沖縄てんぷらも食べさせることにした。さかな天とイカ天を二つずつだ。
店が混んでいるので、なかなか料理が出てこない。ほぼ満席だ。客が出てもすぐに入ってくる。ここは沖縄、リゾートなのだ。のんびりと待つのだ。けいたまはスプーンとコップで遊んでいる。楽しそうだ。多少不衛生だが、免疫力が付くだろう。
天ぷら
最初に出てきたのは天ぷら。あつあつ。衣がカリカリ。中はホクホク。塩味の効いて美味い。けいたまにさかな天を食べさせる。気に入ったらしい。さすが、猫娘。
本日のイマイユ バター焼き定食
正確に言うと、前菜のみ。おしゃんてぃーだ。食堂ではない、カフェだ。お好みでしびれ醤油を使う。ハルハルが美味そうに食べている。腹が減っているらしい。
続いてメインの登場だ。なかなかの迫力。ジュージューと焼ける音にアーサー(あおさ)とバターの香りが食欲を刺激する。たっぷりとソースを吸ったパリパリの魚の皮と、肉質のしまった淡白な白身のコントラストが味わい深い。ご飯に合う。これは美味い。ハルハルが無言で食べている。
糸満漁民飯
見た目はカフェ飯。漁民飯というより、シーメンズプレートと呼ぶのがふさわしいだろうか。醤油はカツオの出汁が強く効いている感じがする。しびれ醤油でも食べてみろとのことだ。
ふむ。少しなめてみる。おお!これは花山椒好きの私にはたまらない。妻も気に入るはずだ。買って帰ろう。
いろいろ試して、下記の手順で食べるのがベストのように思えた。
- スプーンに野菜をのせる
- ご飯をのせる
- 醤油につけた刺身をのせる
- スプーンの中身を食べる
魚汁そば(あっさり)
力強い魚の出汁にあさりの香り。塩ラーメンならぬ、塩沖縄そばとでも呼べばいいのだろうか。キャベツとネギがスープとケンカせずに、調和を保っている。麺は細い平縮れ麺。コシがあり、スープがよく絡む。新感覚沖縄そばだ。けいたまがものすごい勢いで麺を食べる。
沖縄料理の新しい扉を開いた店だ。おじいとおばあが守る伝統的な料理もいいが、若い発想と世界中の料理法を取り入れた、ヌーベルオキナワーヌとても呼ぶべきこの店は、きっと那覇で真似されるに違いない。
また食べに来よう。
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)