ひらつか 海鮮丼

宮城県石巻市 活鮮料理 ひらつか 海鮮丼(上)

石巻で海鮮丼

昨晩は石巻市街で海鮮を堪能した。じつにいい店であった。自宅は沖縄、仕事場はなぜか東京である。必然的にうまい海鮮を食べる機会は少ない。沖縄の魚は美味くないと評されるが、そんなことは無い。ただ、美味い魚にありつける条件が厳しすぎるために、結果として食べることができないのだ。東京は金さえ払えば美味い魚を食える。もしくはひっそりとしたたたずまいの小料理屋や小さな居酒屋では、リーズナブルに美味い海鮮に出会える機会もあるのだろうが、そんな店、星の数ほど飲食店のある東京で探し出すことは、銀河英雄伝説の本編110話と外伝52話の合計162話を通じて、ヤンウェンリーが紅茶を何回こぼしたのかを数えるくらい難しい。

そんなわけで海鮮の旨い地域に行けば、何度でも食べたくなるのは当然なのである。貴重な機会なのである。地元の首里城は10年ほど訪れていないが、出張先の城にはなぜか足を運んでしまうのだ。

本日は石巻から山形県新庄市まで車での移動だ。それほど距離もないので、ゆっくりとチェックアウトまでホテルで仕事をしていた。これから道中でうまい海鮮を食べられる店がないのか検索してみた。

市内にはまだまだ仮設住宅がある。市のホームページによれば、入居者はすでに数名で、この南境運動公園南西用地には誰も住んでいないようだ。あれから8年が過ぎた。子どもたちの小学校卒業パーティーのために訪れた北京で一報を聞いた。三か月後には石巻を訪れた。災害の爪痕に鳥肌が立った。

震災3か月後の石巻

気持ちを切り替え目的地を目指す。本日のランチは「ひらつか」。活鮮料理の店とある。どんな美味い魚が食えるのか楽しみだ。雲一つない快晴の青空の下、車を走らせた。

車を停めて店に入る。入口にはかずかずの賞状と焼酎の一升瓶が飾られていた。

店内にも数多くの酒便が並んでいる。繁盛している店なのだろう。おすすめを見ると海鮮だけでなく、豚肉や焼き鳥などの肉料理も並んでいる。

テーブル席とお座敷がある。私はテーブル席に通された。

メニュー

さて、何を食べようか。まずは丼・重から閲覧する。海鮮丼、ウナギ重、ウニ丼、各種天丼とそろっている。

続いては定食・麺。とんかつ、とりから、ステーキにもつ煮。牛・豚・鶏と肉料理が制覇されている。自信があるのは海鮮だけではないということか。

そして海鮮系の定食だ。刺身、干物、揚げ物。なかなか豊富なメニューに心が揺らぐ。

海鮮丼もいいが、とんかつがうまそうだ。いや待て、肉を食いにきたのか?魚だろう、海鮮だろう、それを言えば、刺身定食だって金華さば定食だって美味そうではないか。いっそ欲張り定食にするか?

うーん、それはさすがに人としてどうかと思うぞ。二兎追うものは一途を得ず。中途半端な定食を食べて、一品物にすればよかったと、生まれてからこの方、何回ほど後悔しただろうか。涙をのんだであろうか。だからこそ初志貫徹で海鮮丼にするべきなのだ。

え?上と並があるぞ。

写真は並だ。どう違うと言うのか、それはお楽しみなのか。分かったよ、せっかくだから上だ。

海鮮丼(上)

ん?財布に金は入ってるだろうな。少し不安になり確認する。入っていた。ホッとした私の前に海鮮丼(上)が運ばれてきた。おお!素晴らしい。カラフルな鮮魚たちがどんぶりの上に並ぶさまは、まさに宝石箱。盛り付けは生け花のようだ。調理人のセンスを視覚からも感じることができる。

出汁のきいた味噌汁が美味い。ほっとする味だ。丼などこから手をつけていいのかわからない。まずは鯨。生姜たっぷりで醤油につける。ん?臭くない。鯨ってこんなにうまかったか?マグロの赤身にも似た味だ。柔らかい食感は、まるで肉のようだ。

ハマチ、やもするとこの手の魚は個性が強すぎて、脂が臭みに感じられるので好きではないのだが、これはいい。くどすぎず、臭みなく、いいとこだけを味わえる。

ご飯は暖かい。普通の白飯だ。そうである。こうあるべきなのだ。酢飯などもってのほかだ。ちらし寿司と名乗るべきなのだ。

カツオも見た目に美しい、トロ鰹だ。食べると意外にあっさり。くどくない、カツオの自然な旨味が口の中に広がる。

ぼたん海老の殻をとる。味噌がピンク。新鮮な証拠だ。かぶり付くと臭みは微塵もないが…塩っぱい。なんで?ぷりぷりの身を食べる。ねっとりとした甘みが舌に絡み…つかない。塩っぱい。なんで?

鯖も浅締めだ。好みだ。真っ白に使った砂糖の甘さのような酢漬けなどもってのほか。そんなもんはパンにでも挟んで食えばいいのだ。

鯛も甘い。ウニは臭みなくねっとりとまとわりつく甘みが口の中に広がる。ご飯が足らなくなった。刺身づくしだ。

トイレは温水洗浄便座である。

デザートのオレンジを食べてフィニッシュ。海鮮丼にしてよかった。悔いはない。

さて、今晩は山形蕎麦だ。

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