中国粥

ザ ハワードプラザホテル台北 (台北福華大飯店)朝食

視察旅行で台湾を訪れている。昨日、那覇から台北に入り、ランチを食べ昼呑みをしてから、ここ台北福華大飯店での台湾経済界との懇親パーティーに参加した。宿泊も同ホテルである。海外旅行での楽しみはなんといっても朝食ブッフェだ。国内出張では宿泊のほとんどがビジネスホテルなので、朝食もそれなりだ。なかには食材が豊富なホテルもあるのだが、プチ贅沢程度である。たまに旅館に宿泊することもあるが、その場合は朝食が豪華だ。食事は100%和食である。

それが海外旅行ともなると宿泊は4つ星もしくは5つ星ホテルになる。台湾の場合は星ではなく梅で数える。4梅もしくは5梅だ。そんな、ホテルなんて寝るだけだから安くていいじゃないかと言う人もいるが、日本とは違う。治安がいい国でも、何が起きるか分からない。航空会社でも同じだが、LCCと日本航空で飛行機の落ちる確率が異なることはない。いずれの会社でも大事故はまず起きないだろう。だが、天候不良や空港閉鎖などでトラブルが起きたとき、LCCではすべてが自己責任になる。会社が乗客の面倒を見ないから安いのである。大企業ではトラブルが起きても、なんだかんだと面倒を見てくれるので、安心なのだ。ホテルも同様である。外国では、己の力のみでトラブルを解決するのは難しいのである。

それだけではない。高級ホテルではルームサービスや朝食ビュッフェも豪華なのである。特に東南アジアは食材が豊富なだけあって、種類が豊富なのだ。香港のような国際都市では特に顕著である。もちろん、このホテルも例外ではない。朝7時前、まだ人が少ない朝食会場へと足を運んだ。旅行の参加者はきっと昨晩は遅くまで林森北路で盛り上がったのだろう。台北随一の飲み屋街だ。私は疲れもあって、外出もせずに部屋でおとなしくしていた。だから早朝に目が覚めた上に空腹なのである。

朝食会場には誰もいない。一番乗りだ。気持ちがいい。吹き抜けで屋根が高い空間は開放的で圧迫感がない。ゆったりと優雅なブレックファースト、いや早餐(朝食)をいただこうではないか。

日本と違って中国人は朝からガッツリ食べる。例えば、焼き餃子は朝飯のおかずだ。前の晩に茹でて食べきれなかった水餃子を焼くのが定番だ。いわゆる長崎市の「昨日の皿うどん」状態である。よって、ビュッフェにも蒸し料理が豊富に用意されている。焼売や包子(ばおず)、油條やパン類も多くの種類を選ぶことができる。

一品料理もいろいろとある。減塩中の私はいずれも食せないのが残念だ。ゆで卵は日本と違い、中国名物の鹹蛋(日本語で塩玉子)である。アヒルの卵の塩漬け。かなりしょっぱい。

中国での朝食に欠かせないのがお粥。コメが採れる中国南部では、米と肉や魚介、玉子を入れたものが主流である。北部だとお粥にサツマイモやトウモロコシを入れたりする。本日の粥は白粥と鮑粥。個人的には皮蛋痩肉粥が一番好きである。お粥にピーダンと牛の赤身肉スライスを入れたものだ。中国語では赤身の肉を痩肉、バラ肉を肥肉と呼ぶ。分かりやすい。

お粥などへのトッピングも豊富だ。これも中国ならでは。日本でなら漬物や佃煮が並んでいるところだろう。代表的なのは肉鬆(ロウソン)、豚肉で作ったでんぶである。でんぶ、漢字では田麩、鮨では「おぼろ」と呼んだりもする。エビから作るのが代表的だろうか。ピンク色の甘いやつは鱈から作ったものだ。台湾ではおにぎりの具にも使う。それにキュウリのキュウちゃんみたいな漬物、豆腐乳は豆腐を発酵させたもので、チーズのように固い。豆棗は大豆などの植物タンパクから作られた肉もどきの甘辛い佃煮で、お粥に鉄板の一品である。

もちろん、サラダや卵料理、フルーツもふんだんにある。日本では高価な南国の果物がふんだんにあるのが嬉しい。サラダの野菜も日本のものと若干違ったりする。品種や気候、土壌が異なるためだろう。もちろん、ドレッシングはかけずに食べる。

白粥に油條、パクチーに唐辛子ペーストを少々。これぞ日本では食べることが困難な朝食なのだ。海外旅行の密かな楽しみなのだ。

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