ハンバーグ紅やソース

山口県防府市 紅や ハンバーグランチ紅やソース

防府市八王子 紅や

腹が減った。体調が悪くて朝食を食べていない。そもそもが素泊まりだ。駅前のルートインを予約したにもかかわらず、間違ってわざわざ駅から離れているアパホテルに来てしまったのだ。

しかも宿泊できてしまった。

しかも二泊で八千円だった。

ホテルの周囲には飲食店がほとんどない。駅前のルートインに泊まっていれば、豊富な選択肢からチョイスできたのだが、ここ、防府市八王子の選択肢は限定されている。一番手っ取り早いのはホテルのレストランだ。カレー押しのバイキング。さすがに食べる気がしない。

ホテルから一番近い店は洋食店。イチオシはハンバーグだ。この体調でガッツリ食うのはどうかと思ったのだが、コンビニに行く途中でもある。とりあえずホテルを出て、店に向かって歩いてみる。近づくと、ハンバーグの芳ばしい香りが鼻腔をくすぐる。

ああ、これは耐えられない。

空腹もなかなかピークに達してきた私が、この状況から抜け出せるわけがない。地球の重力に捕まった、耐用年数を過ぎた人工衛星のように、いや、街灯に引き寄せられる蛾のように、いや、ゴキブリ団子に引き寄せられる害虫のように、いや、もうなんでもいい。私はフラフラっと店に引き寄せられていった。

メニュー

店の入口は裏側の駐車場の方にあった。店内は半分くらいのテーブルが客で埋まっていた。むだ11時半だ。早めに入って正解だ。一番奥の明るい広いテーブルに案内された。ラッキーだ。

さて、なにを食べようか。まずはランチメニュー。

おすすめの季節限定ランチ。うーん、生粒胡椒に惹かれるが、牛カツはなあ。昨日もトンカツを食べたばかりだ。

定番ハンバーグメニュー。この店イチオシだけあって、力の入り方がなかなか。ステーキは食べたくない。

個性的な品が並ぶオリジナル単品ハンバーグも魅力的だ。ジャンボタワーハンバーグにも挑戦してみたいが、一人では無理だ。今回のランチはハンバーグランチ紅やソースに決定だ。ドリンクはコーヒーかオレンジジュースしかないので断った。

店内が徐々に混んできた。ひとり客は少ない。子供づれは少なくない。会話で店内が少しずつ賑やかになってきた。活気があっていいねえ。

ハンバーグランチ紅やソース

ハンバーグが運ばれてきた。ナイフはない。箸で食べるのか。ソースはドミグラスではない。もっとライトな、弱っている今の私には好都合なソースである。レモンは何にかけるのか?とりあえず全体的にかけてみる。

ポタージュはトウモロコシの香りがいい、濃厚で胃に染みていく、滋養溢れるまったりとした食感と味わい。今の私に必要なものだ。美味い。レタスサラダは新鮮でシャキシャキ。体にビタミンが染みていくかのような錯覚におそわれるほどみずみずしい。薄口の和風ドレッシングは素材の味を邪魔しない。

さて、湯気が立つハンバーグを食べることにしよう。箸で簡単に切れる。スパイスと肉の旨味が口の中に広がる。レモンの酸味が軽くアクセントになり、旨味を増幅する。粗挽き肉を使ったジューシーなハンバーグを箸で食べる。サラッとしたライトなソースが和食のように味を仕上げている。今の私には重厚なデミグラスソースよりも、レモンの酸味爽やかなオリジナルソースの方があっている。これならば食がすすむ。

箸ですっと切れるのに、崩れることもなく、口に入れれば柔らかい。噛み締めるとスパイスの香り肉の旨味が口中に広がっていく。これを受け止めるべく、ご飯を口に放り込む。美味い。

付け合わせの野菜も美味い。冷凍野菜のようにびしょびしょではない。歯ごたえがあり、ソースとも相性がいい。ご飯の量も少なめで、今の私にはちょうどいい。

ごちそうさま

店内を見渡すと、どこの地方とも変わらず、客の年齢層が高めだ。六十代以上に狙いを定めた味付けではなかろうか。今の私の肉体年齢はきっと七十歳代であろう。この店でよかったのだ。体調万全で訪れていたら、きっと違った感想を持ったに違いない。

山口県防府市。次に訪れるのはいつのことだろうか。

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