羽田空港 七だし屋 醤油ラーメンとシラスご飯

羽田空港 第1ターミナル 七だし屋

羽田空港着は12時10分、三沢空港行きは13時45分発なので、ゆっくりと食事をする時間がある。

さて、何を食べようか。

実は行き先はすでに決めてある。七だし屋。最近、開店したラーメン店だ。着いた、ここだ。

メニュー

どれにしようか、メニューは三択だ。まぜそばはない。汁気が欲しい。出汁が売りの店で汁なし麺を食べるなどとは、蕎麦屋でラーメンを食べるようなものだ。論理が破綻している。

塩か醤油で悩む。いずれも捨てがたい。よし、今回はオーソドックスに醤油ラーメンと佐田岬半島のしらすご飯にしよう。

しかし、なぜに佐多岬?愛媛県の西端にある、九州に向いて突き出た半島が佐田岬である。三十年前に行こうとして、いまだ訪れていないことに気づく。ここから対岸にある、関サバや関アジで有名な佐賀関まではフェリーで七十分。

あまり知られていないのだが、佐賀関と佐田岬の漁港は、同じ漁場で漁をしている。佐田岬に揚がったサバやアジは岬(はな)サバ、岬(はな)アジと呼ばれるブランド魚である。ちなみに同じ漁場の漁港がもう一つある。高知県の土佐清水だ。こちらも清水サバ、清水アジと呼んでいる。

で、調べてみると佐多岬には「しらすパーク」なる施設がある。四国と九州の間の海を豊後水道と呼ぶが、その西側が宇和海、なんと、しらすの一大産地なのだ。

知らなんだ。

これは行くしかない!その前に、まずは羽田空港で食べてみようではないか。

こだわりに関する考察

昼過ぎではあるが、店内はさほど混んでいない。カウンターには山長商店の看板が置かれている。安政元年、西暦1854年創業の、大阪にある乾物問屋だ。その奥には七だし屋のこだわりが掲示されている。

  • 出汁
    七つの贅沢な天然出汁に鶏がらスープを掛け合わせたコク深く風味豊かな味わいです。

  • 全粒粉を配合した多加水麺はモチモチ食感でのど越しも良く、スープとの絡みが抜群です。
  • 具材
    【低温真空調理】の叉焼は、じっくり火を通すことで旨味を封じ込めました。
  • 薬味
    高知県仁淀川上流で採れる上質なぶどう山椒で、丹精込めて自家製山椒オイルを作りました。お好みでご利用ください。

  • 「幻のお米」と呼ばれる甘みの強い千葉県産の多古米を使用。ちょい足しごはんでお楽しみください。

ふーむ。

注文するとブザーを渡された。

整理しよう。

多加水麺とは多めの水でこねた麺、と理解すればいいだろう。モチモチになるのが特徴だ。反対に少ない水でこねた麺、いわゆる低加水麺の代表格は、博多とんこつラーメンのあの細いストレート麺や旭川ラーメンである。

低温真空調理とは、具材を調味液と一緒に真空パックし、60度でゆっくりと火を通したのちに、急激に冷却する調理法である。真空パックにすることで調味料が均一に馴染み、タンパク質が固まり出す手前の温度で火を通すことで、具材から水分を出すことなく、封じ込むことができる。

ここで疑問が湧く。60度で滅菌はできるのだろうか。調べてみると、やはり、低温真空調理には扱えない具材がある。ホルモンはダメだ。野菜や肉類、鮮度のいい魚介類が対象になるだろう。調理時間は最低でも一時間、叉焼だと八時間くらい必要なようである。

仁淀川は知っている。高知県を代表する川だ。この上流に位置する自治体で生産される山椒は「仁淀川山椒」というブランドで販売されている。なんと、あのギャバンからもミル付きの仁淀川山椒が販売されてきた。

これは、買わなきゃ、ダメだ。

最後に多古米。千葉県、成田空港の東側に位置する多古町で生産される、コシヒカリのブランド米だ。生産量が少ないために幻と呼ばれるらしい。この辺りはもともと湿地帯で「多湖」と呼ばれていたらしい。ミネラルが豊富な土壌で生産されたコメは、粘りと甘みの強さが特徴だそうな。幻のコメと言えども、今ではネットで購入できる。

醤油ラーメン

ブザーが鳴ったので、カウンターまで食事を受け取りに行く。ラーメンと飯だ。カウンターに戻り、まずはスープからいただく。

ふむ。

ネギが薫る、すっきりとしているのにコクのある味わい。なんだこれは?よくある懐かしい味わいの醤油スープではない。和食の出汁にも似た、味わい深い

手延べうどんのようにキラキラ輝く平打ち麺は喉越し滑らか。コシはそれほどでもないが、伸びがある。まさに多加水麺の特徴である。極太メンマは意外にも薄味で、スープの味を邪魔しない。麺の量は少なめで、女性でもペロッと食べられるだろう。チャーシューは少し歯ごたえの残る柔らかさ。肉の旨味を堪能できる薄味だ。これが低温真空調理の成果なのだろう。

国産のおろし生姜をスープに解いてみる。チューブ生姜特有のえぐみが鼻に付く。失敗か。いや、時間が経つにつれてマイルドに変化していく。ほのかな生姜の香りが食欲を刺激する。うまい、後半戦なのに箸が止まらない。スープまで全て飲み切って完食だ。

丼はカラになった。

さて、しらすご飯。本来はラーメン共に食べるべきなのだろうが、あまりのバランスの良さにラーメンがご飯を寄せ付けなかった。

まず、よそられているのが茶碗ではない。皿である。ご飯ではなくライスなのですよと言わんばかりだが、メニューにはご飯と書かれているのだ。皿の上には、固めに炊かれた、粒の立っている艶々のご飯。その上には緑のネギと白いしらす。大きくてふわふわでうす塩だ。ネギのマイルドな刺激としらすの海の香りをご飯がしっかりと受け止める。

ネギとしらすがこれほどまでに相性がいいとは。九条ネギならではのなせる技だろう。量もいいくらいだ。これならば、和風だしのようなラーメンと一緒に食べても美味かったであろう。

満足じゃ。次回は塩に挑戦するぞ。

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