あみ熊 穴子天丼 羽田産
グルメ

東京都港区 浜松町駅 天婦羅 あみ熊

東京へ

朝七時に家を出てタクシーで那覇空港へ。保安検査場を通って、全日空のダイヤモンドラウンジに入る。スープとロール寿司をとって席に着くと、目の前に知った顔がいた。目が合うと手を振ってきた。

社長と秘書だ。

驚いた私は皿を持って席を移動する。ラウンジに入ってきた時から手を振っていたようだが、まったく気づかなかった。なんでも、今日は昼から政治団体の会合に出席するようだ。まもなく登場時間が近づき、社長と秘書は先にラウンジを後にしようとした。おそらく一服しに行くのだろう。その時、ラウンジ内で呼び出しの放送が流れた。社長のようだ。あとで聞いてみたら、社長の席のコンセントが使えなくてすいませんとの連絡だったそうだ。

ANAプレミアム御膳朝食

機内に入ると、三人とも同じ一列目。飛行機は定刻通りに離陸した。 機内では軽く朝食をとる。プレミアムクラスの機内食だ。 定刻よりも少し早めに羽田に着いた。社長らは荷物を預けていると言うので、私は先に行くことにした。まずはモノレールで社宅に向かう。荷物を置いてランチを食べてから、会社に行くのだ。

羽田付近の海

運がいいことに、すぐに発車する空港快速に乗ることができた。大して混んでいないので、ゆっくりと座れた。国際線ターミナル駅に近づき、モノレールがトンネルから出ると、外は快晴。干潟には人影がまばらに見える。潮干狩りでもしているのだろうか。その羽田の海にも生き物がいて、食材とされているのだろうか。そんなことを考えながら外を見ていたら、一つの結論に達した。

傘を置いてくればよかった。

天婦羅 あみ熊

社宅に荷物を置いた。スマホで時刻を確認する。午前11時半だ。ランチタイムだ。本日の昼食を食べる店は決めていた。タワーマンションの前にポツンとたたずむ、年季の入った天ぷら屋。以前から気になっていた。これはチャンスだ。

あみ熊 外観

ランチメニューを見る。天丼や天ぷら定食だけでなく、ランチメニューには刺身や煮魚もある。しかも980円と、このあたりにしてはリーズナブルだ。

あみ熊 ランチメニュー

本日のサービス品は「江戸前 羽田産穴子丼」である。なんと刺激的な文言であろうか。先ほど眺めた、羽田の海で獲れた穴子を食わせると言うのである。東京産、しかも大田区で捕獲した穴子を喰らうと言うのである。見過ごすわけにはいかない。食べないわけがない。

あみ熊 サービスメニュー

店に入るとカウンター席に案内される。静かな店内だ。十一時半と言うこともあって、まだ客は少ない。BGMは静かな日本音楽。カウンターの中からシュー…パチパチと天ぷらを揚げる音がする。サウンドが食欲を刺激する。

あみ熊 店内カウンター

お新香と味噌汁が先に運ばれてきた。しじみ汁である。音が鳴り止んだ。

来るぞ。

カウンターの正面を見つめる。左から足音が近づいてくる。来た、間違いない。お座敷席の客はすでに食事中だ。店内で食事を待っているのは私だけだ。ホール係の女性が左手から丼を差し出した。

圧倒的じゃないか?!

デカイ、デカイぞ!まるでジオングのようだ。そこまではでかくないか。いや、そんなことはない、江戸前の穴子がこの大きさだぞ!1300円は安くはない。ここは港区だとしても、千円オーバーのランチは安くない。とは言え、江戸前の穴子をこれだけ使って、元がとれるのだろうか。

穴子天丼

色々と考えるのはやめて、本能に従おう。腹が減った。揚げたてアツアツの天ぷらにかぶりつく。衣がカリカリ。サク、ではない。ザクとは違うのだよ!ではなくて、カリ、なのだ。しっかりとした衣が、カリカリに揚がっている。衣がしっとりして、中がぐにゃぐにゃになった、立ち食い蕎麦の天ぷらとは違うのである。

ちと揚げすぎではないかと思わないでもないが、少し焦げた小麦粉の香りは嫌いではない。なるほど、しっかりと衣をつけた分、衣の中がぐにゃぐにゃにならないように、じっくりと揚げているのだろうか。

もちろん、中の穴子はホワホワである。臭みなど微塵もない。底生魚はやもすると、泥臭さが鼻についたりするのだが、それだか新鮮なのだろうか。タレの量は多すぎず少なすぎず、素材の味わいを邪魔することなく、辛過ぎず、甘からず、黒子役に徹している。日本ガイシのようだ。

穴子天丼

「美味いでしょ?」

不意に後ろから声がきこえたをいつの間にか背後を取られたのかと焦って振り返ると、店主がお座敷の客に話しかけていた。常連さんの高齢夫婦だった。店主が続ける。

「朝、捌いたばかりだからね。羽田産だよ、江戸前だよ。」

なるほど、新鮮なわけだ、美味いわけだ。先ほどモノレールからか見えた羽田の海は、なかなか豊かなのだな。DASH海岸があるくらいだからな。やるな、東京湾。

ご飯も美味い

ご飯も粒が立っていて、硬めに炊いてある。うまい。コメの量は多くない。ただ、天ぷらがでかすぎるのだ。一品ものの天丼は味が単調になりがちであるが、付け合わせのおしんこが、口の中をさっぱりとさせ、味覚をリセットしてくれる。問題なのは、私にはもの足りなすぎることだ。ハズキルーペの小泉進次郎のように叫びたい。

「天丼の野菜が少な過ぎる!」

漬物増量を激しく主張したいところなのだ。

しじみの味噌汁も薄口で香りよく、苦味も臭みもない。下ごしらえがしっかりとしてあるのだろう。

穴子天丼

完食。これで1300円は安いだろう。個人的には、もう少し軽めの衣で揚げた方が、サクッとグフっと、違う、衣はサクッと、中は一層フワッとなるのではないかと思う。お勘定を済ませる。

「今日はサービスですから。」

そうだろう。普段は1700円で提供されている穴子丼だ。しかも、羽田産を扱うのは滅多にあることではないのだろう。東京都23区でまさかの地産地消。東京の底力は計り知れないのだと、改めて思い知ったのだった。