浜松町 たかや 串カツ

東京都港区 浜松町駅 串カツ大衆居酒屋 たかや

浜松町の串かつ屋家

浜松町駅から金杉橋に向かう途中に新しく串カツ居酒屋ができていた。新しいといっても、開店してからは一年ほど経つだろうか。ちょうどセブンイレブンの向かい側に位置する。昼でも夜でもこの辺りを通ることが多いので、以前から気になっていたが、いつも客が混み合っていてなかなか一人では入る気になれなかった。

ネットで口コミを読んでも、店員の女の子が可愛いと言う投稿がいくつもある。確かに、たまに店頭で若くてかわいい女性が通行人に声をかけていた。だが、しょせん居酒屋なので、女の子目当てで通う店ではない。キャバじゃないのだ。

まして団体客で盛り上がっている店に、単身で入店するのはなかなか気が引ける。店内に一人客用の居場所がない。テーブル席しかない。精神的に居場所がないのは構わないのだが、物理的に居場所がないのは辛いものがある。

この日は帰りが遅くなり、深夜に食事ができる店を探していた。この界隈で深夜まで開いている店は、北海道バルと沖縄料理屋だ。どちらも行く気がしない。なぜなら、私は沖縄の会社に勤務する北海道担当なのだ。どちらも本場で食事をすれば済むことだ。もしかしたら、あの角の串かつ屋ならばまだ営業しているのではないか。そんなわずかな希望を持って店に向かったところ、赤ちょうちんが見えた。開いているではないか。

店の前の看板を見る。閉店は午前1時、ラストオーダーは午前0時とある。現在時刻は23時20分。余裕で食事ができる。店の前では、スタッフが机と椅子を片付けていた。まだ入れるかと聞くと快くどうぞと言って迎えてくれた。

テーブル席に案内されたが、まもなく閉店だ。店内に客はそれほどいなかった。

串カツ大衆居酒屋 たかや

お通しはいわゆるざく切りキャベツだ。みずみずしい、パリッとしたキャベツに水滴がついている。見た目にもフレッシュ感があふれている。調味料はごま油に塩を混ぜたものだ。見た目よりもかなりしょっぱい。0.05mlだけで十分に塩気を感じることができる。最近、血圧がうまくコントロールできていないのは、自分の体が塩漬けになっているからではないかと思うようになった。世の中は糖質制限が流行っている。糖質の代替品は、肉やチーズ、魚の練り物、ソーセージやハムなどのシャルキュトリなど、バラエティに富んでいる。だが、考えてみれば、いずれも塩分を多く含んでいる。こんなものばかり食べていたら、血圧が上がる上に、体の調子もおかしくなるのは当然だ。

そこで、この四日間ほどは、一日に摂取する塩分量を3グラム以内に定めて調理をしてみた。もともと薄味なので、塩が少ないことはあまり苦にならない。かといって味気ないのはやはり嫌だ。まるでクソ不味い病院食と一緒である。私は餌など食いたくない。食事がしたいのだ。料理が食べたいのだ。

そこで唐辛子、ごま油、花山椒、黒胡椒、バター、ローズマリー、ハーブなどを多用する。心強いのはマヨネーズ、大さじ一杯で塩分がわずか0.1グラムの優れものだ。さらにお酢である。日本の米酢、中国の香黒酢、そしてイタリアのバルサミコ酢。それぞれの特徴を生かして料理に使えば、素材を十分に味わいながら塩に頼ることなく味付けが可能である。

例えば鶏もも肉のソテー。オリーブオイルとニンニク、新鮮なローズマリーで味付けをする。じっくりと焼いて中まで火を通す。肉が柔らかく仕上がる。仕上げは黒胡椒。お好みでバルサミコ酢をかけても良い。このあたりは好みの問題だ。塩分ゼロ、塩を一切使っていないにもかかわらず、なかなか旨く調理できた。妻もおいしいと言っている。さすがに娘たちには薄味過ぎるので、塩を少々降った。

ここで娘のけいたまが、自分で塩をかけると言い張る。いいだろう、やってみればいい、かけすぎちゃダメだよ、とアドバイスするが、三歳児は聞く耳など持たぬ。案の定、ドバッと塩をかけていた。

「けいたま、塩かけすぎだよ。それ食べてごらん。」

けいたまが塩がたっぷりとかかった鶏肉を食べる。

「辛い。」

けいたま、塩をかけすぎたことを身をもって理解したようだ。その後、肉を食べるときには、私に塩をかけるようにけいたまが依頼してきた。自分ではうまくできないことも理解したらしい。こうして三歳児は学習していくのである。

キャベツはおかわり自由である。千切りキャベツであればいくらでも食べられるのだが。不思議なことにざく切りだと大量に食せない。調味料はすべて無料で追加できるので、偉大なる減塩調味料であるマヨネーズを注文した。

メニュー

さて、何を食べようか。串揚げでなく、煮物などもあるようだ。

珍味や締め、甘味も用意されている。串の種類もバラエティに富んでいる。

店内の壁にも、いろいろとおすすめが掲示されてる。人気ランキング5種盛合せ、魅力的である。こいつを食べることにしよう。

まずは冷奴だ。醤油はこちらですと勧められるが、何もかけずに食べる。豆腐とはこんなにも味がするものだっただろうか。たっぷりのネギとおろし生姜、そして鰹節と一緒に食べているとは言え、塩気がなくても、豆腐はこんなにも濃厚な味わいだったであろうかと自問自答する。

まあまあイケる。金額からして特にこだわった豆腐を使っているわけでは無いだろうが、何故だか旨く感じる。

串カツを食べる

人気ランキング5種盛合せはレンコン、アスパラ、鶏もも、豚肉、牛ハラミである。牛肉はなかなか柔らかい、いわゆるヒレカツではない。ビフカツである。関西ではメジャーな食べ物である。自分で作る事はなかなかないので、新鮮な味わいだ。もちろんソースも塩も何もつけていない。油に塩分が含まれているのだろうか、ほのかな塩気を感じるような気がする。

アスパラは長くて噛みきれない。仕方がない、熱々のアスパラを一気にほおばる。噛むたびにアスパラから高熱の液体が口の中に噴射される。食べるのも必死だ。だがしかし、この価格でアスパラが食えるのであれば、決して悪いものでは無い。

レンコン、食感はシャクシャク、おそらく水煮を使用しているのだろう。生のレンコンを揚げるのはなかなか酷である。可なく不可もなくである。

鶏もも串カツ。ふっくらと揚がった串カツを何もつけずに食べる。唐揚げよりもヘルシーな気がする。唐揚げは下味がついているが、串揚げは素材に衣をつけるだけだ。自分で好きな味付けができる。減塩に向いた食べ方なのである。鶏皮を意識させることなく、ふっくらとジューシーに揚がっていて、まるでチキンカツを食べているかのようだが、やはり串カツである。ひと口サイズなので食べやすい。対して豚肉の串カツは意外にもいまいちである。

ビールを飲み終えたので、次はいつものハイボールではなく、壁面にイチオシであった「こだわり酒場のレモンサワー」を飲むことにした。あ、これってサントリーの商品か。

まだ食べ足りないので、追加でオクラとうずらの卵を注文する。オクラはとても香ばしい。カリッとした衣の下からジューシーで熱々のオクラが出現する。水分が抜けて、旨味が濃縮されたオクラは、煮物や味噌汁で食べるよりも存在感がある。この店の揚げ物はカラッとしている上に、あまり衣を意識させない。いい泥(小麦粉を溶いた液体)と細かいパン粉を使っているのだろう。

うずらの卵もむっちりとした食感がたまらない。 自宅では使わない食材である。キッチンの引き出しに入っているウズラ玉子ハサミを最後に使ったのは、いつのことだろうか。

なかなかの食べ応えであった。会計を済ませ店を、後にする。本音を言えば締めを食べたかったのだが、無塩の選択肢がなかった。仕方がない、帰りにコンビニでバナナを買って帰ろう。

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