骨つきポークチーズカツ

静岡県 浜松駅前 浜松地ビール工房 マインシュロス

浜松地ビール工房 マインシュロス

浜松での会議は19時からだった。朝食を食べず、昼がカレーだったからか、小腹が空いた。会議まではまだ一時間ほどある。駅前で餃子でも食べるか。ホテルを出て歩きながら、浜松市民の山木さんにメッセージを送る。

「小腹が空いたので駅前で餃子でも食べたいけど、どこがいい?」

返信が来た。

「あれ?会議、来ないんですか?」

まさか?あれ?会議って19時からだよね。違う?始まってる?すぐに行きます。幸い、会場は駅前の遠鉄百貨店だ。急いで会議に向かった。

会議が終われば、飯だ、ビールだ、懇親会だ。連れていかれた先はビアホール。マインシュロス。地ビール工場だ。会議の参加者の一人がここのオーナーだとのこと。

「もう十年以上も赤字を垂れ流してるんですよ。」

税金対策なのか?大きなホールが気持ちいい。壁にはこれまた大きな画面が置かれている。

ちなみに「マイン(mein)」はドイツ語で「私の〜」である。「シュロス(Schloss)」は城である。つまりこの店の名は「私の城」となる。

ソーセージ盛り合わせ

ビアホールなのだからビールで乾杯。まずはアルトだ。美味いなあ。ビールとくればソーセージ盛り合わせだ。どれもいいのだが、特にハーブ入りの太いやつが美味い。酸味控えめのザウアークラウトも私好みなのだ。

サラダ

シャキシャキしてみずみずしい。ドレッシングは和風だ。

ジャーマンポテト

普通に美味い。

鳥ハツの唐揚げ

臭みなく、やわらかく、肉のように筋張っていない。これはクセになりそうだ。フルーティーなヴァイツェンビールによく合う。

ピクルス

酸味控えめ。カリフラワーが特に美味い。カリカリして楽しい。ビールでは腹が膨れてしまう。ハイボールがないので、レモンサワーを頼む。

ここでオーナーが言った。

「何も注文していないので、頼まないと出てきませんよ。」

なぬ?!ならば頼もうではないか。さて、どれを食べようか。

うむ。こいつだ。シュバインス ハクセン(SCHWEINSHAXE)。ドイツ南部を代表する料理だ。

「なんでそんなこと知ってるんですか?」

山木さんが驚く。だって、メニューに書かれてるよ。

「なんだ。」

慌てん坊さんだなあ。続いてオーナーが言った。

「これ、高いんで頼む人あまりいないんですけど、美味いですよ。」

楽しみだ。調べてみるとドイツ南部のバイエルン州でよく食べられるという。ドイツ最南の都市、ミュンヘンの北部がバイエルン州だ。伊藤ハムにアルトバイエルンという商品がある。しかしバイエルン州のソーセージはヴァイスヴルストと呼ばれる、朝に作って昼までには食べないと痛んでしまう、刺身のようなソーセージで、豚肉のあらびきソーセージではないのだ。

余談だが、我が国の規格なんて言うと仰々しいが、JASこと日本農林規格によれば、ソーセージはウインナー、フランクフルト、ボロニアの三種類である。太さが20ミリ以下がウインナー、20ミリから35ミリがフランクフルト、それより太いのがボロニアであるが、歴史的な経緯から、太さに関わらず羊腸を使ったものはウインナー、豚腸を使ったものがフランクフルト、牛腸を使ったものがボロニアソーセージとも規格で定められている。

SCHWEINSHAXE

さて、こいつがSCHWEINSHAXEだ。中国料理の東坡肘子を彷彿とさせる。豪快にナイフで切り分ける。厚みのあるコラーゲンがぷるぷる。なかなか切りにくいのだが、食べる分には問題なし。肉が柔らかい。味付けはあまりなくて、素材の味を生かしてる。レモンをかけた方が酸味で味わいが広がって美味い。

レモンサワーが甘くて飲めない。ならばお茶割りだ。

「静岡割ですね?」

山木さんが言う。そんな呼び名があるんだ。

「いや、最近は静岡割なんて言わないよ。」

オーナーが答える。

ん?画面にサッカーが映っているぞ。皆がテレビの方に顔を向け出した。なにこれ?ワールドカップ?ああ、なんか今やってるよね。へー、日本対コロンビア。そうなんだ。私は興味ないから。

店内の九割方の人がテレビに食い入る。

「おーーーーー!」

一様に声を上げる。

うるさい。

骨つきポークチーズカツ

いやあ、美味い。酸味の効いたソースは地元産だそうだ。これか、トリイソース。

なんだよ、さっきまでサッカー興味ないって言ってた人まで、試合を見てるじゃんか。

つまんない。帰ろーよー。

ここで解散となった。ほとんどの人は試合を見てるので、山木さんが私に付き合ってくれた。浜松の夜はまだまだ続くのだった。

(Visited 24 times, 1 visits today)