目で楽しむレトロな蕎麦店
ホワイトロードの景色を楽しんだあとはランチタイムだ。通りがかった道の駅に車を停める。ここで店を探すとしよう。その前にトイレ休憩なのだ。気になる店を見つけた。伝好(でんこ)と読むらしい。
なんだかよさげなので、店内に入ってみる。豆腐は売り切れていたが、揚げが美味そうだったので買ってみた。2枚で400円。高級油で揚げているので、油抜きも不要とのことだ。後日、妻と一緒に焼いて食べてみた。揚げなのに中身がみっちりとして、かといって厚揚げでもない、独特な揚げだった。もちろん美味い。また食べてみたい。
ネットで店を検索する。車で10分ほど走ったところに気になる店を見つけた。現在時刻は11時。店の開店は11時半。ちょうどいい頃だ。
開店十分前に到着したが、先着が2組。開店を待っていると、四台の駐車場はすぐに満車となった。店の外には昭和の看板が多数掲示されている。趣味で集めたものだろうか。地方に行くとたまに見かける光景でもある。
静かなところである。静寂である。日本の田舎である。このあたりはすでに稲刈りが終わっていた。柔らかい陽射しが温かい。雲一つない秋晴れの空が気持ちいい。のどかだなあ。
時間になった。若い男性が出てきて、中に入るように案内する。土間は昔の家のようだ。中もレトロ。客層も年齢高め。
店内は古民家のようだ。入口を入ると土間があり、靴を脱いで客室に入る。店内は板間と和室に分かれている。囲炉裏はインテリアのようだ。室内は少々暗めである。窓側の席に座りたかったが、あちらは3人以上でなければ座れない。二人客までは大テーブルで相席となる。
メニュー
さて、何を食べようか。
ざるかぶっかけか悩む。なんとなく「ざる」が食べたい。とりごえ蕎麦御膳を頼んでいる人が圧倒的だが、私は蕎麦にする。なぜなら、このボリュームならば、飛行機に乗る前にもう一度何かを食べられるかもしれないからだ。カレーはないと思うが。道の駅でモツ煮込みうどんも食べたかったな。トロロざるを頼む。
本当に静かだ。離れた席の客の会話までクリアに聞こえてくる。隣の客はジブリのようだと話している。まさにその通りだ。そば茶が美味い。こちらの人は語尾を伸ばす、独特のイントネーションで話すのが特徴だ。輪島に住む知人と同じ話し方なので、ついつい苦笑いしてしまう。
昭和コレクション
蕎麦を待つ間に和室を物色する。おもちゃのコレクションなのだ。
舌で味わう名水蕎麦
レトロにあふれる店内を楽しんだ後は蕎麦である。蕎麦猪口はふたつ。とろろ無しでもそばを味わえるようにとの気配りだろうか。これは嬉しい。
つゆは甘めでも辛めでも無い。ほのかにカツオの香りがする。蕎麦はコシがあるが、少し固めというか、少しだけゴワゴワして伸びがない。喉越しは悪くない。蕎麦は太めというか平めんだが、乱切り蕎麦のよう。たっぷりのつゆをつけて食べる。麺もつゆもよく冷えて美味い。水が冷たいのだろう。この辺りは名水らしい。建物の中もなかなか寒い。玄関は特に寒い。
見た目よりもボリュームがある。付け合わせの野菜はゴーヤーの佃煮だ。苦味はないが鰹節が効いて、なんの野菜だか、食べただけでは分からなかった。
二種類の蕎麦猪口を使うことで二種類の薬味で蕎麦を味わえる。うーん、とろろを入れると味のバランスが悪くなる。つゆが辛くなる。とろろ自体の甘みが弱すぎるせいだろう。そばとつゆの相性は抜群だ。あれこれ加えずに、シンプルに食べた方が美味いということなのだろう。
蕎麦湯がうまい。トロロでも薬味でも、どちらも美味い。まるでスープのようだ。体も温まる。
食べ終えると、入口で会計を済まし、土間で靴を履く。玄関を開けて外に出る。いい日差しだ。日が当たると暖かい。
さて、鮮魚を買いに行くか。
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)