菊乃里 鼓(つづみ)
本日も会議が滞りなく終わった。懇親会では何が食べられるのか、出張の最大の楽しみだ。参加人数が数十名から数百名ともなるとホテル飯になるので期待できないが、小規模な宴席だとワクワクする。東京と違い、地方ではリーズナブルに高レベルな食事に出会えるのも醍醐味なのだ。
さて、何が食べれるかな。
前菜
前菜から。ナスの煮浸しはゴマの香りがいい。辛口の出汁と相まって美味い。もやしとキュウリの胡麻和えも香りよく酒に合う。和食の繊細な先付って本当に美味しいと思う。短期決戦ならばボリュームのある食事をがっつり食べるのもありだが、これから始まるコースの序章を、ささやかな量と自己主張控えめな味付けで奏でてくれる。
さあ、どんな展開が待ち受けているのだろうか。
棒だらの焼き物
棒だらの焼き物。ここでは塩焼きで食べるのか。芋棒くらいしか知らなかった。何もつけずに食べるとシンプルなのだが、大根おろしと合わせると味わいが変化する。さらに梅かつおと合わせると劇的に美味くなる。これは箸が止まらない。初めての経験だ。
刺身
東北の海に来て刺身を食べないことはありえない。刺身はスルメイカ。こちらではもう出ているのか。甘くてコリコリしてねっとりして美味い。アイナメも同じくねっとりと甘くて脂がのってる。エビも同様。海の幸万歳。
真イカとスルメイカが同じものとは知らなかった。
同じイカなのか〜?!
昨年からスルメイカは不漁が続き、食べる機会が減っているようだ。確かに最近はスルメイカよりもヤリイカを買うことが多い。それだけ売っていないということか。
煮物
煮物はキリッっと締まった辛口の味付け。この店の特徴なのだろう。素材の魅力を引き出す調理が、煮物の味わいをバラエティー豊かにしている。食べていて楽しい。
天ぷら
天ぷらはコシアブラにタラノメにフグ。コシアブラの独特の苦みがたまらない。こいつはパスタにしても美味いのだ。天ぷらは塩味がついている。カラッとしてうまい。
にんにく豚
にんにく豚うまい。もろ味噌とあう。八戸は養鶏と養豚が盛んだそうだ。味付けは味噌だけで、甘辛なのがいい。
うどん
辛めのつゆだ。コシのある麺が喉越しよく、味わいも文句なし。美味い。
やはり食は地方だな。東京でこのレベルの素材を、料理を食べたらいくらするのか。いや、そもそも食べられるのか。
一つ言えることは、これでまた、東京の居酒屋での食事が、より鬱になるということだ。
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)