馬肉ユッケ

五反田駅 完全個室 馬刺し 桜なべ 炙り肉 あぶみ邸

キャバ嬢ご推薦の店

ランチを食べた後、長時間にわたっていくつかの会議が開催された。午後5時、すべての日程を終えてTOCビルを後にする。さて、懇親会だ。え?

セッティングしてない?

「すぐにしますんで」

幹事役が答える。彼はかなり大きな会社のオーナー一族である。いわゆるボンボンである。バカではない。人望も教養もあるが、彼の苦労話は世界が違いすぎて、まったく共感できないことが多い。

「店が取れました。」

早めの時間とはいえ、十名はいる団体ですぐに予約できるものだろうか。

「五反田のキャバクラのお姉ちゃんに聞いたので…」

彼はいつも笑顔でニコニコして、品が良さそうな顔立ちのくせに、キャバクラが大好きである。

私も人のこと言えないのだが。

完全個室 馬刺し 桜なべ 炙り肉 あぶみ邸

彼の後にぞろぞろと続く中年男性と女性たち。五反田駅前の少し入り組んだところに入ると店があった。

「ここです。」

幹事役が示した先には看板がかかげられていた。

「完全個室 馬刺し 桜なべ 炙り肉 あぶみ邸」

店内に入ると、入口からぐるっと回った奥にある部屋に通された。通路は畳、部屋の足元はフローリングの作りになっている。

少人数用の個室も用意されている。

お座敷の一番奥、窓側の席に座った。本日おすすめメニューを見る。仙台牛かあ、美味いよなあ。先日、食べたばかりだ。馬白子って、哺乳類に白子は…脊髄?うーん、今日はいいや。

さて、何を食べようか。通常メニューに目を通す。馬ヒレ肉の唐揚げ、これは美味そうだ。馬だけに。牛サーロインのレアカツを彷彿とさせるビジュアル。馬だと唐揚げなのか。ぜひとも食べてみたい。

コースではなかったので、思いつくまま、本能に従って食べたいものを選ぶ。肉だけではない、野菜もオーダーする。

お通しは豆腐だろうか、忘れてしまった。

馬刺しは無難に可もなく不可もなく、こんなものだろう。赤身にヒレにふたえごである。牛刺しのナマ食が禁止されてから、合法的に食べられる赤肉は事実上、馬肉だけである。羊や鹿も赤肉ではあるが一般的ではない。豚や熊は生食に向いていない。誰かが話していた、草食動物でなければ生食できないと。

馬ヒレ肉の唐揚げ。

え?

メニューとだいぶビジュアルが違うような。これが人間なら盛りすぎだろ、修正しすぎだと非難するレベルに達するくらい、違いが激しい。シズル感がまったく違う。しかも揚げすぎだ。ミディアムレアだ。JAROか公正取引委員会に訴えたいくらい差がありすぎだ。味もなんだかイマイチだ。期待が高かった分、落差も激しい。気分が萎えた。

微妙な料理の数々

トマトジュレ。ビジュアル的にはなかなかである。透明感あふれるトマトの赤と黄金色のジュレとベージュの白ごまのコントラストが美しく、ワンポイントであるハーブの緑が映える。

食べてみよう。

トマトが甘い。敢えて言おう。このトマトにジュレもゴマも不要である。トマトが十分に甘くて美味い。

鳥唐揚げ。うーむ、これはチキン南蛮ではないだろうか。甘酢のかかったタルタルソースは不要だ。何のために下味をつけているのか分からぬではないか。

馬肉ユッケ。今では元祖ユッケである牛肉の代替メニューとして人気である。脂のノリは劣るが、馬肉の方がクセがないので、これはこれで美味い。

フォアグラ稲荷。甘くて、コクがあつて、さらに深みもある不思議な味わい。

肉味噌きゅうり。味噌ときゅうりのバランスがイマイチ。

炙り明太子。なかなかの大きさの明太子を焼いて豪快に切ってある。意外に美味い。酒のアテにもご飯のおかずにもなる一品だ。

なんだか、いずれも私には微妙な料理である。この店と私とは波長が合わないのだろう。雰囲気もいい、店内も明るい。だが、五反田でわざわざ馬肉を食べなくても良かったような。

最後は馬肉の握り。すでにお腹がいっぱいなので、写真だけ撮る。

考察

ああ、そうか。

この店を紹介したキャバクラのねーちゃんの考えならわかる。ここは二人でも個室で飲める。完全個室制の店なのだ。味よりも何よりも、プライバシー保護が最優先なのである。

幹事役よ、本日は交流会だ。君が同伴する店を探すのとは訳がちがうのだ。尋ねる相手を間違えたということだ。

やはり店は自分で考えて決めるべきだと、酔った頭で考えながらタクシーに乗った。まだ午後7時だが、酔っ払った。帰って寝よう。明日は早朝便で沖縄だ。

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