2020年4月6日
握り鮨

北海道 千歳駅 すずめ

帯広は今日も雨

何故だろうか。帯広に来るときは、たいてい雨の気がする。うさぎのしっぽに行った時も雨が降っていた。ダイニング簾で飲んだ時も土砂降りだった。その前に釧路から帯広に寄った時は、雨は降らなかったが、地震が起きた。

六年前に帯広に来た時は天気は良かったのだが。

帯広と言えば、なんと言っても肉と野菜だ。市内に港はないが、隣町には沢山あるから、海鮮物も豊富である。チーズやスイーツも有名だ。バターサンドの六花亭や生キャラメルで一世を風靡した花畑牧場。最近はラクレットチーズでブレイクしている。

本来であれば、旅先でしっかりと地元の食を堪能するのだが、今回は勝手が違った。特急列車スーパーおおぞらで帯広に向かった。

帯広の居酒屋にて

一日目の夕食は夕方からそこらへんの居酒屋で飲んでしまった。

漬物盛り合わせ。

厚岸の牡蠣は美味い。

ネギまみれ厚揚げ焼きをオーダーしたら出てきたのはカツオまみれ。いいよ、食べるよ。

なんとかレモンサワーのメガ杯を無理やり作ってもらった。でかい。

翌日の昼は緊急会議で、ランチミーティング。食事は喫茶店のカレー。レトルトを使っているようだ。なんだかなあ。

夕方は四時から開いている串カツ屋に行って飲む。開店前に人だかりができていた。客の中にこの店のオーナーの知り合いがいるらしく、電話で話していた。

「お前の店の前、人だかりができてすごいぞ。早く開けろよ!」

特に北海道らしくもない串カツを食べる。とん平焼きにキャベツが入っていることに驚くが、北海道では普通らしい。むしろ道民に聞き返された。

「キャベツ入ってないの?」

うん。入ってないよ。

その後はホテルで懇親会。翌朝は朝食を食べると昼抜きで式典に参加。終了後、知人の車に乗せてもらって、南千歳駅で降ろしてもらう。タクシーでホテルに向かい、やっと一息つけた。

北海道 千歳駅 すずめ

帯広の仇を千歳で討つ、わけではないが、今日くらいは美味いものをじっくりと味わいたい。のんびりと食を楽しみたい。ホテルの近くに店はないかと探してみると、一軒の寿司屋を見つけた。

開店時間を過ぎたばかりのようだ。入ってみよう。カウンターに通される。メニューはコースしかないが、お好みを言えばなにかしら出してくれるようだ。好き嫌いやアレルギーも最初に聞かれた。大切なことである。

まずは白魚のお通し。ものすごく上品な蕎麦つゆに浸した、細いうどんのような透明な白魚は臭みもなく、ほのかな苦味と旨味が調和して、生姜の香りが華を添える。これは期待できそうだ。

大将がネタケースを出してきた。寿司を握り始める。中トロには隠し包丁。うまそうなマグロだ。ネタケースにシャリは専用の小さなおひつ。このようなスタイルの寿司屋は私の記憶ではいわきの「すし伊藤」でしか見たことがない。なんとなく店の雰囲気も似ている。

まな板の上に加熱料理用のものは薄い小まな板を使って調理する。真たらか?一人分にしては多い気もするがなにを作っているのだろうか。

先に握りを出してもらう。昼飯を食っていないので腹が減った。大黒ししゃも。香りがいい。酢で味付けしてある。羽幌の甘エビ。ボタンエビのような食感で甘みが強い。美味い。一仕事してあるのでそのまま食べれる。本鮪も美味い!マグロの背側の中トロだそうだ。甘くて適度な脂ののりだ。これだよ。あまりにもお腹が空いていたので、写真を撮らずに食べてしまった…不覚。

かんぴょう美味い。甘くない、食感が硬すぎず柔らかすぎず、わさびが少し入っているのか。北海道の土わさびか。ノリとシャリの旨味も相待っていつも食べている干瓢巻きとは全然違う。巻物なのにシャリが口の中でほぐれる。

トイレはキレイで清潔、便座は洋式だ。温水洗浄便座だ。席に戻ったら、おしぼりが新しいものに変えられていた。さりげない心遣いが店のレベルを感じさせる。嬉しい。

ニシンは歯ごたえがあり青魚独特の香りが鼻を抜ける。新鮮だ。脂ものっている。

タラとキノコの煮物。キノコシャクシャク、タラは旨味が出ていてこれまた美味い。酒が進む。にせこ、こいつがまた美味いのだ。久しぶりに飲んだのだ。

さわら美味い。

ホッケの刺身は水っぽくて好きではないのだが、なるほど、こうやって炙るとまったく味わいが変わるものだな。なまら美味い。酔ってきた。

イカ刺しがうまい。味が濃くてねっとり。これはイカなのかと疑いたくなるような味覚だ。

「スルメイカです。そろそろ終わりですね。ヤリイカが揚がり始めていますから。」

店主が続けた。

「九州の長崎の方ですか?活イカを食べるところありますよね。」

呼子ですね。福岡の中洲にも生簀発祥と名乗る店がありますよ。

「それで、九州から来られたお客様にこのイカを出したところ、たいそうお怒りになられて。なんだこれは、白いじゃないか。透明なイカを出せ、と。」

活イカもうまいけど、あれは食感を楽しむものだし、甘みや旨みは熟成したイカの方が強いですもんねえ。

タイも極上。甘い、美味い、脂のノリがほどほどである。不思議なもので、肉は脂がのっているほど好きな私は、魚はそうでもない。適度なノリの方が好みなのだ。

大将に手を出すように言われて出してみれば、載せられたのは真タチ(真ダラの白子)の握り。そのまま口に入れれば、いっぱいに広がる芳ばしい焼きたちの香りとクリーミーな味わい。少しずつ口の中でシャリが味をまとめると、スーッと奥に消えていく。これは芸術だ。

活きツブガイ。コリコリ。

いくら。やはりプロの味は自家製とは違うなあ。ちょっと悔しいけど、当たり前の話だ。プロが素人に負けるわけにはいかないのだ。

締めは赤出汁。胃にしみる。気づけば日本酒を五杯はのんでいる。四時間近く飲んでいる。酔った。帰ろう。久しぶりに美味い酒と魚をじっくりとゆっくりと味わえた。

これが食事と言うものだ。

こちらの記事もどうぞ: