お手製きゅうりの漬物

北海道美幌町 小料理もり川 冷奴とパクチーサラダ

美幌ディナー

夏の北海道は日が長い。沖縄も日が長いが、北国の夏は沖縄よりも日が長いのである。午前3時には明るくなる。そして夜は午後7時でも明るい。沖縄と大して変わらない気がする。それだけ北海道は北にあるのだと言うことを、いやがおうでも意識させられる。

さて、美幌での夕食だ。

何を食べようか。昼に海鮮丼を食べたので、寿司を食べる気上がらない。地元民に聞いたところ、美幌にはなかなか良い寿司屋がないと言う。では焼肉か。いや、焼肉は前回、夜中に食った。そんなにがっつりと食べたい気分では無い。では、以前行った小料理屋が良いだろうか。いや、せっかくなので、別の店の味を体験したい。

小料理もり川

さて、何を食べたらいいのか。

美幌の繁華街はさほど広くない。4ブロックも歩けばただの住宅街になる。同じ場所をぐるぐると回る。繁華街の店が途切れ始めたあたりで、一軒の看板が気になった。小料理と書いてある。アパートの1階部分に店があるようだ。

道路から外れて敷地に足を踏み入れる。ここか。ドアが開いていた。店構えは完全に私の好みである。

よし、この店にしよう。

暖簾をくぐると店内の電気がついていなかった。不安になる。外の灯りがついているのだから店は開いているはずである。

「すいません。」

店の奥に声をかけてみる。すると、女将さんがやってきた。よかった。これで食事ができる。カウンター席に案内される。まずはとりあえずビールだ。

メニュー

店内は落ち着いた内装である。メニューはそれほど多くない。壁に書いてあるのみである。

お座敷席も2択ほどある。こちらでは鍋のセットが用意されていた。夏でも涼しい北海道では、鍋を食べる機会もきっと多いのだろう。

お通し

まずはお通し。野菜が多い。

きゅうりは梅酢あえだろうか。インゲンはゴマが香ばしい。いずれも素材の味をうまく生かした味付けだ。対して鶏肉は手がかかっている。カレー風味でハンバーグのような味わいだ。

冷奴

味付けは鰹節と薬味ではなく、刻んだたくあんの梅酢漬けである。斬新だ。爽やかな梅の香りが夏の暑さとうっとうしさを和らげてくれるようだ。豆腐は木綿で味が濃い。ぼそぼその食感が、絹豆腐派の私には残念だ。豆腐とたくあんに大葉を加えて食べるといっそう美味である。ハイボールはないので、女将さんリコメンドで梅錦の吟醸。さっぱり。辛くもない。 四国中央市のお酒である。

内地の感覚では、店の扉が開けっ放しだと冷気が漏れて、部屋が冷えないと思ってしまうが、 北海道の特に道東や道北、夏でも20度を切るような地域では、クーラーが無いことが多い。店は窓も入口も全開だったりする。だが温暖化の影響か、北海道も確実に気温が上がっている。ここ美幌は今年の6月に34度を記録した。暑かった。沖縄よりも気温が高かったのである。

焼き銀杏

もちろん生銀杏だ。感動。まさかこれが夏に食べられるとは。私の好物なのだ。出張先で銀杏が売っていればほぼ買っている。自宅でも作る。ああ、グニュグニュぷにゅぷにゅとした食感、銀杏独特の臭みと香りの狭間を漂う強い香り、匂いとは釣り合わない甘みが口に広がる。日本酒が進む。

トマトとパクチーサラダ

トマトは甘い香りと味わい。夏の暑さとこの地の気候が作り上げた糖度の高い果実だとうか。聞けば、今日の料理は野菜も漬物も自家製だとのこと。自分の畑で作った朝採れ野菜をたっぷり使った一品なのだ。これは贅沢。香りの強いパクチーも、また嬉しい。なんと、おかみさんもパクチーマニアだと言う。おお、同志よ!私もまたNO パクチー、NO LIFEなのである。酒は一の蔵特別純米酒。なかなか合うな。

きゅうりの漬物

塩麹に自家製きゅうりにシソ。酒のつまみにぴったりだ。食べた後、余韻のように引くピリ辛は唐辛子である。酒は七冠馬。スッキリ甘口好みの酒。島根県は出雲の酒だ。

ごちそうさま

気がつけば日本酒を四合も飲んでいた。だめだ、飲み過ぎだ。あと一軒、行かねばならぬのだ。女将さんの会話と料理をたっぷりと堪能したのちに店を後にした。野菜たっぷりのメニューに大満足だ。小料理屋とはかくあるべきと言った感じであった。ぜひともまた訪れたい。

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