まだ春見ぬ秋田市へ
沖縄から羽田経由で秋田に向かう。初夏の南国からまだ雪残る北国への移動だ。温度変化には慣れている。こまめに服を着たり脱いだりして温度調節をするのだ。もともとは昨日のうちに群馬に入り、会議を済ませたら翌朝の新幹線で八戸に行き、ランチミーティングをしてからの秋田だった。けいたまが熱を出したので、人を代わってもらったり、会議を延期したりして、看病をしたのだ。三月はけいたまの相手をぜんぜんできなくて、実家で不機嫌になってしまったから、せめてもの罪滅ぼしなのだ。
機内から見えた鳥海山が美しい。
秋田市 天ぷら酒菜 醍醐
それとは関係なく、翌日の昼間に予定していた仙台での会議も先方の都合でキャンセルされた。過密日程からのんびり日程へ。助かった。秋田での会議が白熱したのちに会食へ。向かったのは「醍醐」。同席者によれば、地元では大人気店で、週末の夜に予約が取れるとは思わなかったとのことだ。
店内は落ち着いた内装だ。カウンター席が渋い。あそこで天ぷらを目で楽しみ、舌で味わえたら、さぞ美味いだろうなと思いつつ、奥の個室へ通される。料理はコースを注文済みとのことだ。ではドリンクは?
「飲み放題にします?」
「いや、どうせ高い日本酒とか頼むんでしょ?意味ないよ。」
ということで、ドリンクは好きなものを頼めということだ。
お通しはタケノコ、山芋、ホタルイカに菜の花。春の味覚。美味い。店構えも味付けも上等だ。天ぷらも期待できるというものだ。山菜のコゴミとうるいは味付けがされてないのだろうか。ポン酢をかけていただく。こりゃ美味いわ。たまらん。
天ぷら用の塩。プレーン?とは言わないか。塩、茶塩に焦がし醤油塩だ。カレー塩ではない。この店は塩で食べさせる店なのか。いや、続いてたっぷりの大根おろしと天つゆも運ばれてきた。ネタによって食べかたを変えるものらしい。
まずは海老だ。いきなりメインだ。エビは焼きそばパンの焼きそばと同様に、最後に食べるものだという定石をいきなり外すとは、まさに奇手。え?焼きそばパンはそんな食べ方をしないだと?却下だ。今は他人の意見など求めていない。マイワールドに土足に踏み込んでくるとは、貴様はスタンド使いか?
「身は塩ダレで、頭は塩でお召し上がりください。」
店員な声で我に帰る。なるほど。言われた通りにしてみよう。身を塩ダレにつけて食べる、と。サクッとした衣の感触がたまらない。
ふーん。
二口目は塩につけて食べてみる。
美味い!
私は塩ダレと相性が悪いようだ。頭は指南通りに塩で食べる。殻も柔らかい。
うまっ!なにこれ、味がめっちゃ濃いんですけど。まるで海老のエキスが凝縮されたかのような感じだ。
続いてタイのお造り。なんだ、普通だなと思って配膳された皿に載っていたは薄造り。ただモンじゃないな。白身はポン酢に限る。もみじおろしとネギをポン酢に入れて、刺身をつけて、口に入れる。
美味いがな。酒が進んでまうがな。
イカと大葉の天ぷら。シソの香りよく、イカは柔らかい。刺身で食べも相性のいい組み合わせだ。天ぷらにして不味いわけがない。いや、美味いわ。
行者ニンニクとたけのこの天ぷら。大根おろしタップりの天つゆで食べるように勧められる。言われた通りにしよう。確かに酒飲みには塩で食べる方が酒が進む。しかし、大根おろしたっぷりの天つゆも美味いのだ。これに山菜の天ぷらを載せて不味いわけなかろう。ニンニクは香りよく、筍はほんのりした甘みがある。大根と天つゆがこれらを受け止める。まいうー。
レンコンの天ぷら。シャクシャクして甘い。
しいたけの天ぷら。プリップリ。美味い。
締めはご飯少なめ鯛茶漬け。味も上品。こりゃいいわ。茶漬けで締めたのに、さらに酒を飲もうとする我々に、店員が冷たく「ラストオーダーです」と言い放つ。店内のあちこちで片付けが始まっている。
つまり、我々は邪魔なのだと、とっとと帰れ、この酔っ払いだと。そういうことだな。
追い出されるようにして、店を後にした。
天ぷら魚菜 醍醐
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)