2020年4月9日
雲丹軍艦巻

岩見沢で鮨を食うなら ~敏鮨~

岩見沢の鮨

岩見沢にはいくつかすし店がありどれもうまい。鮨に特化してるのが「敏鮨」だ。店は五時から開いていて早い時間は空いている。混むのは夜中。飲んだ後に小腹が空いた酔っ払いが店に押し寄せ寿司を食らう。かくいう自分もその口で、地元の知人に「寿司が食べたいなら美味い店がある。」と連れて来られた。

メニューは寿司のみ。ちらし寿司などもあるが基本は握り。つまみはない。以前、頼んでみたが断られた。酒もビール(ジョッキ)と日本酒と焼酎のみ。酎ハイは緑茶ハイのみ。気持ちいいくらい割り切ったメニュー構成だ。個人的には軽く刺身などをつまんでから寿司をちょっと食べて終わりにしたいので、夜中に何度か行ってからはしばらく足が遠のいていた。

その日は珍しく夜の予定がなく一人だったので、寿司でもつまんでホテルに戻ろうと思い、久しぶりに暖簾をくぐった。店内に客はいない。カウンターに座ってビールと上寿司を注文する。

まずは赤身と白身とカニ。美しい。シャリがまだ少し温かいが悪くはない。続いて甘エビ、ホタテ、生ホッキ貝。私は海老をあまり食べない。美味い海老が少ないからだ。しかし北海道では安心して海老が食える。ハズレがない。ホタテも普段は食べないが北海道なら別だ。ネットリとした食感で身が厚く甘い。生ホッキ貝はこれこそ北海道でしか食べることができない。赤い茹でホッキは水っぽくて好きではない。新鮮な生ホッキ貝は甘くていい香りがするのだ。

最後に軍艦巻。とびっ子、ウニ、イクラだ。北海道のとびっ子がこれまたぷちぷちしていて美味い。イクラはハズレだことがない。どこで食べてもイクラは美味い。そしてウニ。クリーミーで臭みがない。上品な甘さがある。たまらん。上寿司は以上で終わりだ。

北海道はシャコがうまい!

続いてお好みでまずは真イカとシャコ。北海道ならイカを食べないと!函館が有名だがどこで食っても美味い。同じ海で獲れたものを使ってるのだから当たり前だ。居酒屋でも透き通ったイカの身が普通に出てくる。名古屋の知人がそれを食べて感激していた。

「なんですか、これ?980円?名古屋で食ったら1万円はしますよ!」

北海道では春先がシャコのシーズン。身が詰まっている。オスの方が身の味がしっかりしているので好みだ。唐揚げなら子持ちの方が美味いと思う。そういえば4月にも岡山に行くのだが、シャコもサワラもシーズンではないだろうか。うーん、楽しみだ。

寿司の写真を撮っているとおかみさんが不思議そうに聞いてきた。

「それ、何に使うの?」

趣味と仕事を兼ねてることを話すと女将さんが言った。

「ああ、こないだもね。夜中に来た四人組がテーブルに座ってね、寿司を出したら全員黙って下を向いてさ、スマホで写真撮り出したんだよ。何に使うんだろうね。」

女将さんに説明した。

「ネットで自分がいま食べてるものを友達に知らせたりするんですよ。あと食べログみたいな口コミサイトに投稿したりとか。」

ネットはあくまで参考程度に…

馴染みの店が食べログでボロクソに書かれていたことがあった。トップにあったので自分が投稿して口コミを入れ替えた。馴染みの店がディスられて気分のいいものではないし、投稿の内容も首をひねるようなものだった。大将が言った。

「ああいうの、怖いねえ。ネットに裏でボロクソ書かれたりしてねぇ。」

最後にウニをリクエスト。やはり美味い。酒はビールから緑茶ハイに変わっていた。カウンター越しに大将らと話が弾む。大将と女将さんと大将のお姉さんの三名で店を切り盛りしてるそうだ。ここに店を開けて三十年になるという。色々あったなぁと店の歴史を語ってくれる。私は沖縄の話をする。会話を肴に酒が進む。サービスで大将がホッキ貝のスパイシーソテーを出してくれた。これがまた酒に合う。

だいぶほろ酔いになった。はっきり言って緑茶ハイの酒が濃い。酒飲みにはいいのだけど、4杯も飲んだらなかなかいい感じだ。気がつけば店に入って二時間近く経っていた。お勘定をして店を出た。

扉を閉めると若い女性の二人組が私の目の前を横切った。ひとりが店を見て言った。

「あー、敏鮨。父さんがね、敏鮨ぼったくりーって!」

これだ。どこがぼったくりだ。札幌なら倍はして一万円でお釣りはこない。居酒屋と間違えたんじゃないのか?

二人は隣のスナックのドアに消えた。人の噂はあてにならない。口コミサイトもあくまでも参考程度に。私だって高得点でロクデモナイ店をいくつも経験してきたのだから。

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