ハイハイ学校 ~沖縄で流行った悪徳商法~

投稿者: | 7月 11, 2020

ななほし食堂でランチを済ませた後、妻と首里の街を歩いていたら、道路沿いに中途半端な空き地を見つけた。三角形で2坪ほど。今は使われたいないようだ。

「ここは昔、となりの食堂の駐車場だっんだよ。」

なるほど。今は普通の家になっている。さらに歩く。角地の店を指して妻が言った。

「ここはね、前はハイハイ学校だったんだよ。」
「ハイハイ学校?保育園かなにか?」
「違うよ、知らない?おじいおばあ集めて、これ欲しい人〜ってやると、みんながハイハイって手を上げて買うの。最初はお菓子とか安いものなんだけど、最後は布団とか浄水器とか買わされるんだよ。」

初めて聞く話だ。ネットで調べると「ハイハイ学校」と呼ばれる悪徳商法のことらしい。

「近所でも噂でね。またあんたんとこのおばあちゃんがハイハイ学校に行ってるよーって、言われるの。特にね、昔、金持ちで、見栄っ張りの年寄りがハマるの。身内にきつく、外面がいい人がカモなんだよ。」

ああ、人付き合いだけで二億四千万円の借金を作った、見栄っ張りの叔父の顔が頭に浮かぶ。

私が子供の頃、父の実家に行くと、アジアからの留学生たちがたくさんいた。叔父は彼らの父親を気取っていたが、当の留学生らは叔父のことを、おだてればすぐに金を出すバカだと話していたそうだ。

その上、今でも叔父の借金を返済しているのは、本人ではなく娘夫婦だ。そう言えば、私が生まれる前に叔父が作った億単位の借金も、返したのは祖父と叔母、叔父と離婚した元奥さんだ。浜松に住んでいた叔母は、私が中学生の時にガス爆発で自殺した。朝日新聞に記事が載ったので覚えている。叔父の娘たちは、全員、叔母との子供なので、叔父とはとても折り合いが悪い。父の遺言にも、叔父を葬儀に参列させるなと書かれていた。

世の中には頭がいいやつがいるもんだ。