2024年3月29日
うにいくらたらこ丼

我が家の夏2019

雲丹烏賊鱈子丼

小樽から沖縄に戻った翌日から、天気が荒れ始めた。台風9号だ。予報によれば沖縄でも先島諸島、宮古島や八重山群島に最接近とのことだったので、500キロ以上離れた沖縄本島は関係ないと思っていたのだが、大型で猛烈な台風のために、遠く離れた沖縄本島南部でも風が吹きあふれ、台風の様な天気であった。もしも荒天になった場合は保育園から連絡が入るので、お迎えに来る様にとのことだ。

沖縄県は台風の通り道と言われるが、西側の先島諸島、もしくは東側の大東諸島が台風のメッカであり、この十年ほどは本島に台風が接近することはめっきり減ってしまった。記憶にある限り、平成24年には復帰後最大と言われた台風が三連発で沖縄を襲い、自分が借りていた那覇市内のマンションも被災した。その後は昨年9月末に台風24号が久しぶりに本島を襲い、多くの樹々から花を奪った。台風が去ってから樹々が花々を付けなくなったのだ。

とりあえず、保育園から連絡があるまでは自宅待機だ。私はランチに海鮮丼を作ることにした。小樽で調達した数々の食材、北海道の海の幸を妻に振る舞うのである。

塩水うに

まずは塩水うにを容器から取り出す。見事だ。まったく身崩れがない。色も良い。オレンジ色に近い色をしたバフンウニだ。甘味が強いのが特徴だ。これにイカとタラコを合わせる。ツマは大根と大葉の千切りである。桂剥きは苦手なので、スライサーで大根を切り、千切りにする。ご飯をよそい、ハサミで切った刻み海苔をまぶしてから、ツマとウニとイカとタラコをのせてできあがりだ。

自分で言うのもなんだが、旨そうだ。

雲丹烏賊鱈子丼

小樽の朝市食堂ではうに丼が3600円であった。ならばこいつも二千円は下らないはずだ。二人で原価四千円の海鮮丼。いや、外で食べれば二人で6千円はするだろう。沖縄では金を払っても食べられる…な。あの店ならば間違いなく食える。特別オーダーしたとして、ひとり五千円はするだろう。

ああ、炭水化物と新鮮な魚介が織りなすハーモニー。ウニに醤油は要らぬ。山葵だけで十分だ。できることなら、ねっとり滑らかなおろしたての山葵があればよかったのだが、さすがにこれも沖縄では滅多に売っていない。市販のおろしワサビしかないのが残念だ。それでも激しく旨い、甘い、香り良い。鼻から抜けるウニの香りにうっとりしてしまう。

もちろんイカも負けていないが、タラコやウニに比べてあっさりとしているキャラだけに、もちろんワサビ醤油とご飯の組み合わせもいいのだが、ウニイカ、タラコイカの組み合わせがまたまたナイスですねえ。魚卵にはない、しっかりとした食感が旨味にプラスアルファを与えるのは、さすがに軟体動物というべきでしょうか。

雲丹烏賊鱈子丼

さらにさらにツマがシャキシャキと、タンパク質の集合体ではありえない、植物ならではの歯応えで華を添えます。口腔内をさっぱりさせます。大事な脇役ですねえ。何にでも小道具が重要でありまして、夫婦生活と同様、マンネリ化しない工夫の余地を与えてくれますねえ。さすがでございます。

そして海苔。ウニだけでも旨いのですが、ご飯と合わせるときに海苔は不可欠でございます。そんじょそこらの安いものでは味が台無しになります。刻むのが面倒だからとユニオン(沖縄のローカル量販店)で買った安い海苔は家族の誰もが満足せず、一回食べただけで賞味期限が切れ、捨てられてしまいました。手間をかけてでも、おいしい海苔をハサミでギッタギタに切り刻んだ方が良いのでございます。

イワシは唐揚げで

その日の夜、台風の影響は思ったほど強くなかった。保育園から戻ったけいたまとゆうたまには、刺身は無理なので、イワシを唐揚げにしてみた。

イワシ唐揚げ

イワシの骨は細くて柔らかい。揚げてしまえば小骨も気にならない。大人は丸ごと食べられる。外はカリカリ、身はホクホク。けいたまはお気に入りのようだ。

ゆうたま

なんでも食べるようになったゆうたまもバリバリ食べていた。まだ一歳半なので、野菜でも何でも食べてくれる。これから成長するにつれて、きっと好き嫌いが発生し、野菜をだんだん食べなくなるだろう。けいたまと同じ道を歩むのだ。

お盆の準備

日が変わって8月9日。近所のスーパーに買い物に出かけたところ、旧盆フェアが開催されていた。沖縄では旧暦の8月14日〜16日がお盆となるために、毎年日付けが異なる。今年は8月13日がウンケー、入り盆だ。この日はジューシーと呼ばれる沖縄の炊き込みご飯を炊いて、ご先祖様を家にお迎えするのが慣しだ。

旧盆セール

おそらく内地のスーパーでは見ることができない光景だろう。沖縄に来て20年、すっかり慣れてしまったが、妻と結婚するまで旧盆は他人事であった。

旧盆セール

旧盆にサトウキビは欠かせない。ご先祖様がグソー(あの世)に帰るときに、杖として使うのだ。

買い物を済ませたのちは歯医者に向かう。ようやく右下の奥歯に、新しい歯を装着する日が来たのだ。セラミック製11万円。25年前にも同じ歯にセラミック製義歯をかぶせたが、砕けてしまった。今度は死ぬまで持ちそうだ。仮歯で物を噛まないように医師から告げられて、左の歯で噛んでいるうちに、右の歯を使わない変な癖がついてしまったので、両方で均等に噛むように努めなければならないのである。

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